「パウリンの娘」
パウリンの娘 《番外編》

幼き日に3 ~パウリンの娘番外編~

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2年前にこの地に訪れた時ならば、おそらく反応はまた違っていただろう。
昨年位から何となく女の子と言う存在を少し意識するようになって来たフリードル。
それは家督教育の一環のせいなのか? はたまた幼児期を過ぎて少年へと成長していく過程でのこの年頃の子供の成長の一つなのかもしれない。
家督教育では、何れは何処かの令嬢と結婚をし、家を継がなくてはならない事を既に教えられフリードルもその事は納得していた。
だが、この様な言葉を投げかけられるのは初めての事で、上手く聞き流せない自分に戸惑っていた。
他意はないのかもしれないが、教育として教えられるものと実際に耳にする言葉とでは全く印象が違った。
このような戯言で心を乱されるようでは駄目だ。母の様に物事に感化される事無く強い心を持てるようにならなければ、父の様な立派な人にはなれない!
家督教育が始まる時に、父から言われた事を思い出した。

『爵位を頂く者にはそれ相応の覚悟と強い心が必要だ。情に流されるだけでなく、心身を鍛え物事に感化されずに本質を見極められる者になりなさい。その上で優しい人間になれると良いね』

その言葉に、自分を戒め、しっかりしなければと頭では分かっていても、7歳の少年にとってはまだまだそれは難しいものだった。

「およめしゃんになれるぅ!?」

「そうよ」

考えている内にも幼いローレライと母である伯母との会話は続いて行き、ついにはフリードルにとっては衝撃的な言葉が吐き出された。

ローレライはニッコリ微笑むとフリードルにしがみ付いて来て・・・・。

「レライ、フィードの、猫しゃんのお嫁しゃんになるぅ~」

戯言だ。たかが3歳の幼児の戯言だと自分に言い聞かせるフリードルの心とは裏腹に、少年の母であるフェローラは満面の笑みを浮かべるとパチンと両手を打った。

「えっ!?」

思わず微かに声を漏らして振り向くと、そこには一番恐れていたその言葉に感化された母の発言。

「まぁ、それは良いじゃない」

必死に平静を装っていたフリードルも流石に慌てふためいた。

“いやいや、それは無いだろう~!!”

「はっ、母上! 何を勝手な事を!!」

フリードルがローレライと初めて会ったのは2年前。
まだローレライは赤ちゃんで、やっと歩き始めた頃だった。
天使の様に可愛いく、まだまだつたない足取りで呼んで手を叩けば必死になって歩いて来てくれた。
確かにとても可愛いと思ったが、この展開で流石にこれは普通有り得ないだろう。
たかが、3歳の幼児の言葉に大の大人がこうもあっさり取り込まれるものなのか?
もぅ、フリードルには何が何だか分らなかった。

「私も別にそれは構わないのだけど、ただ‥‥ロイエルがねぇ」

「伯爵様が!?」

「もぅ娘にべったりで、目の中に入れても痛く無い程の可愛がりようなのよ。お話しだけは生まれて直ぐに幾つか頂いているのだけれど、社交デビューするまでは考えたくないみたいで・・・・」

「あら、残念」

“これで諦めてくれるのか? ”

母の次なる言葉が諦めに満ちたものである事を7歳の少年フリードルは切に願っていた。

追記:『2012年Xmas特別企画/願いを込めて ~パウリンの娘番外編~』を見直し訂正し
『2012年Xmas特別企画/願いを込めて4 ~パウリンの娘番外編~』
『2012年Xmas特別企画/願いを込めて7 ~パウリンの娘番外編~』
一部加筆しました。


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