パウリンの娘

パウリンの娘《第27章1》

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東の空が明らむ少し前、外苑から一時撤退したフリードル率いる第2陣は、借り受けた古民家で待機していた。
緊急議会開廷まで残された時間はあと数時間。
ミゲルが宰相から預かって来たと言う議会招集のお声が掛かったと思われる者達のリストを渡してくれた。

“宰相の意図する事は何なのか!?”

おそらく自分の思っている事は間違っては居ないだろうと思いつつもフリードルは少し躊躇していた。

「で、どうなさるおつもりですか?」

ミゲルは次に託される言葉を待っていた。

「下の者達を連れて、緊急議会に参加するこちら側以外の者達の素行を出来る範囲で早急に探ってくれ。出来れば陽が昇り切る前に・・・・」

そう告げられるとミゲルは即座に意図するものを汲み取った。
ミゲルもサビエルと同等、王宮騎士時代からのフリードルの配下で愛弟子だ。
考えている事はここに残る誰より理解できるだろう。

「交渉までこちらで済ませても宜しいでしょうか?」

そう告げられフリードルは一瞬戸惑うようにハッと身構えたが、直ぐに思い直すとフッと柔らかな笑みを浮かべた。

「任せる」

「御意!」

ミゲルは踵を正し一礼すると、下の者5名を従えて即座に古民家を後にした。

議会開廷は午後2時。
少なくとも午前中の・・・・、出来れば少しでも早い時刻にそれは成し遂げなくてはならなかった。


一方、深夜ボテイコの毒に曝され中期の中毒症状に陥っていたサビエルは、その後何とか意識を取り戻していた。
回復の兆しを見せるものの、まだ自由には動けない。
だが、少しだが言葉を口にすることが可能になっていた。

「・・・・申し訳・・・・ございません・・・・。私の・・・・不徳の致すところで・・・・ございます・・・・」

「何も言うな。お前は良くやった。ゼロ様はお前に救われたと感謝していたそうだ」

「御無事だったのですね・・・・良かった・・・・。他の・・・・」

「皆無事だ。もぅ喋るな。お前のお蔭だ。今はゆっくり休め。お前にはまだまだこれから働いて貰わなければならないからな」

「・・・・はい・・・・」

そう告げるとサビエルはフゥーっと大きな息をついて、再び瞼を閉じ眠りに落ちて行った。

サビエルは内庭で戦う事になった事までは記憶にあるが、その途中から目に靄がかかったような状況で視力も殆ど損なわれていたらしい。
記憶も定かではく、どれだけ当初重篤な状況だったかが伺える。
ボテイコの毒は極悪非道な行いをした最高犯罪者に、あえて苦痛を与えつつ処刑される時にも使われる悪しき毒薬だ。
少量とは言え、それが体内を駆け巡ったのだ、かなり辛かった事だろう。

「ゆっくり、休め」

そう言い、サビエルの毛布から出た腕を仕舞ってやると、フリードルは後の事をセスとローレライに任せて別室へと移動した。

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