パウリンの娘

パウリンの娘《第27章3》

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民兵隊の出身の青年ロイエルのお蔭で皆の意見は一つに纏まった。
将来が楽しみな青年だ。
解散し、部屋から退出しようとした時に声を掛けられた。

「エル様!」 

「どうしたロイエル」

「あの・・・・先程は出過ぎた真似を致しまして誠に申し訳なく・・・・」

「謝るな!」

「えっ!?」

青年は目をパチクリさせて見開いた。

「お前は間違った事等言ってはいない。良く言ってくれたな。お蔭で助かった。恩にきる」

「エル様・・・・」

「シドが目にかけていたのが良く分かる」

そう告げるとフリードルはニッコリ微笑んだ。

「私はまだまだで、いつも叱られてばかりです。能無し呼ばわりされた事も何度となく・・・・」

「見込みがあるから叱るんだ。シドはああ見えて結構シビアだぞ。見込みがないと思えば容赦しない。私と違って直ぐに切り捨てる」

過去王宮騎士時代、シドに切り捨てられてフリードルの許に泣きついて来た者が何人いる事か・・・・。
フリードルは、一旦は引き取るが大体1か月を目安に見極める。
シドは試しているのだ。一度は自分が認めた者達が何処までやれるかを。
フリードルの許で自分を見つめ直すことが出来、そこで得るものを見出せた者は必ずと言っていいほどその後、自ら移動願いを出して再びシドの許へと戻って行く。
そして、フリードルからも見限られた者の多くは王宮を去って行く。
だからフリードルの事をシドの傘下の者は口ぐちにこう呼ぶ『最後の砦』だと。
中には自分等の意志に関係なく押し付けられる者も居るが、その場合は敢て口には出さない。一様配下にはいるが、いわば飼い殺し状態である。
多くは高級貴族のボンボンがそれなのだが、そう言う者達に比べこのロイエルは比べものにならない程見込みがある。

エルの言葉に自信が持てたのか? ロイエルは思い切って秘めていた想いのたけをぶつけた。

「閣下!」

「閣下は止せ」

フリードルが苦笑いをする。
ロイエルが何かを決断し、一生懸命に何か言おうとしているのが分かる。

「あっ、エル様・・・・、あの、私にも・・・・仕事を手伝わせて下さい!!」

ロイエルは顔を顰めながら目を瞑り、大きな声を張り上げながらそう叫んだ。

「・・・・・・」

一瞬、怯んだ様な沈黙の後。
笑みが零れたかと思えば、次の瞬間、フリードルは込み上げる感情を抑えきれなくなり、腹を抱えて笑い出した。

「エル様!?」

「あぁ、いや、済まん。つい昔を思い出してしまって・・・・」

笑いすぎて涙目だ。
実はフリードルも、もぅ何年も昔、アイスラントに対して同じ言葉を向けた事があった。
今出来る事は何でも協力したい。何でも良い。とにかく何かしていたいのだ。

「分かった」

そう告げるとフリードルは、ロイエルを引き止めると二人で部屋に残った。

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