パウリンの娘

パウリンの娘《第27章7》

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夫人の事を妻とは呼ばずアレと言い続ける男爵。
妻と呼ぶことにすら嫌悪感を抱いているのか? ここまで嫌われて尚、執着する夫人の気持ちは流石に理解できない。
ロイエルにしてみても庶子として認めても貰えぬ段階で男爵家の跡継ぎ等と言われても困惑するしかないであろう。

「わっ、私はその様な大それた事等望んではおりません。それにその様なお言葉を掛けて頂ける資格もないのです。父上のお心を利用してあわよくば己の目的を果たそうと・・・・。父上が憎悪を抱かれる奥方と同じような事を目論んでいたのです!」

事を有利に進めるならばここまで正直に話す必要は無い。
それを身内の心に絆され口にするのはまだまだ若気の至りとしか言いようがないが、こう言う奴はやはり嫌いではないとフリードルは思った。

「同じでは無い。お前に頼られるのは大歓迎た。それに国政を立て直せる新たな者を推挙する事についても賛成だ。その者が誰であるかは想像の範囲でしかないが、おそらく皇太后とは反対勢力だと私は思っている。それがお前の信じる者ならば直良い。手紙の主がシュタイン殿と分かった時点で私は安堵した。おそらく私の選択は間違っていないと思う。ただ、私が後ろ盾する事でお前やお母さんや妹に身が危険に曝されるならば、受け入れられないのだが・・・・」

口を濁すのは当然の事だろう。男爵は何より愛する者の身を一番に考えたのだ。
男爵にとっての家族は傍に居る妻では無く、会う事もままならない者なのだろうから。

「我らが推挙するのは宰相オードラル公爵閣下の御子息アイスラント様です。アイスラント様が玉座に就かれれば、皇太后の御身内の者は国政に直接手を出す事は叶わなくなるでしょう。権力が弱まれば男爵の望む離縁も可能かもしれません。何より夫人の御実家の所行については表だって明らかにされれば、現在においても本来決して許されるものではありません。皇太后様の御身内と言う事で今まで逃れられてきたのならば直の事、新政権下ではまかり通るものではありません。アイスラント様はそう言う者を一番憎悪される方です。一掃されるお考えですから処罰のされる事は明らかです。そうなればロイエルに後を継がせることも勿論可能となりましょう。ロイエルの実力はアイスラント様も認められておられますし、微力ながら私が推挙させて頂いても構いません」

即答だった。

「お味方させてくれ!! 頼む。何が何でもアイスラント殿に玉座を手に入れさせてくれ!!」

男爵は古机に頭を擦りつける程下げ、懇願した。

「父上・・・・」

ロイエルは父の肩を支え、上を向かせると両手を握り、有難うございますと祈るようにその手に額づけた。

「現段階で何かあると言う事は無いでしょうが、御心配であればこちらでご身内の警護に誰か就かせましょう」

フリードルがそう告げるとこれまた即答でロイエルが声を立てた。

「それは私にさせて下さい!!」

親子とは不思議なもので思いがけずに同じような反応にフリードルは思わず苦笑いした。

「ロイエル・・・・有難いが、いや、しかし・・・・」

「御心配には及びません。私はもぅ誰かに守って貰う必要は無いのです。これでも腕に覚えはございますから」

ロイエルがにっこり微笑みそう告げると、フリードルも深く頷いた。

「御決断に感謝いたします。男爵の意に沿えますように、尽力致します」

フリードルの言葉は男爵にとってとても心強いものだったに違いない。

去り際に男爵はこう呟いた。

「私は今でもお前の母を唯一の人だと思っているよ。全てが終わったら一緒に迎えに行こう」

その言葉にロイエルは迷うことなく頷いた。

現状況下で打てる策は全て打った。
緊急議会開始まで既に1時間を割り、フリードルはサビエルの経過と、こちら側に就いた重鎮の名を記した手紙を認めるとマチウスに託した。

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おおっ親子の対面(^^)

総反撃が楽しみです~。

ポール・ブリッツ様 

総反撃、着実に近づいています。
ここにも皇太后の一族の被害者が・・・・。
きっと探せばボロボロ出て来そうですね^^;

いつも有り難うございます^^
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