パウリンの娘

パウリンの娘《第28章2》

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東殿の奥に入ると廊下の所々に倒された兵の姿があった。
皆軽傷のようだが、動けずにいるようだ。
呼吸が苦しそうな者も居れば、けだるそうにただひたすらその場で横になっている者も居る。
そして何より皆が驚いたのは手を後ろで括られ、力なさ気にシザーレに連れられて来る副司令官ベイズの姿だった。

「これは、何と言う不届きな!! 我が国の副司令官を拘束するとはいったい何を考えているのだ!?」

マベラス侯爵がハンカチで口を押えながらも声を荒立てる。
そうだそうだと便乗する者もいる。

「夜襲をかけて来たのはこの者とその一派です。差し向けた者が誰であるかは想像すれば容易いなのではありませんか?」

「 !! 」

詰め寄るシザーレに侯爵はぐうの音も出ない。
耳打ちする親しい重鎮の声に、このままでは不利であることを理解したようだ。

「行くぞ!」

一言告げると、その者等と一緒に東殿を足早に去って行った。

「宰相殿、ここで証人としてもぅ1名同席をお願いしたい」

グローバル男爵夫人の証人申請は既にマノン伯が申請済みだ。

「理由を聞こうか」

「この者が今回の一件において知り得る限りの事を証言してくれるそうです」

「なっ!! お前はこの私を裏切るのか!!」

名乗りを上げたのはあの介添人だった。

「裏切る!? ハッ、まだ分っておられないのですか!? 滑稽だ。ここまで抜けているとは・・・・」

小馬鹿にするようなその言いぐさにベイズは怪訝な表情を浮かべるとその者を見つめた。

「何を言っている!?」

「私は元々貴方の配下では無い」

「何だと!?」

「今までの貴方は中々尻尾を出さないから苦労しました。既にお忘れかもしませんが、昨日の皇太后様の件に付きましても必要と有らば全て証言させて頂きます」

そう告げると介添人をした下の者は宰相の方へと向き直ると深々と頭を下げた。

「分かった。許可する。政務官、手続きの書類を渡してやれ」

「はっ!」

マノン伯は小脇に抱えた綴じ紐の中から書類を取り出すとアイスラントに手渡した。

「時間があまりございませんのでこの場でお書き願えればと存じます」

「分かった」

そう告げるとアイスラントは急ぎ書類に目を通し、政務官へ手渡した。

「連れて行け!!」

宰相は衛兵にベイズを引き渡すと、医療班を急ぎ手配するよう申し付け、重鎮らと共に東殿を後にした。

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