パウリンの娘

パウリンの娘《第28章3》

 ←パウリンの娘《第28章2》 →パウリンの娘《第28章4》
ベイズの配下の者と思っていた介添人は、実はオーラル殿の密偵である事がその後明らかになった。
オーラル殿はベイズの悪行を今まで知りながらも証拠を掴めずにいた。
このままでは国の秩序は保たれないと己が最高司令官を任命され、ベイズが副司令官に就いた折、家督を継ぎ5年前に騎士を引退した若く優秀であった下の者に頼み込み密偵として忍ばせた。
ハビロードの配下に居たと言うのはそれ以前の話だ。
アイスラントは当時からハビロードとの面識はあったが、下の者の事は知らなかった。
おそらくあまり名の知られていない有望な人材をあえて起用したのだろう。
それでしばらく王宮を離れていたとなれば更に見破られる可能性は低くなる。
復帰に際しては勿論全てオーラル殿が書類を揃え、名を偽り、ベイズに気にいられるように経歴も書き換えられた。
没落貴族で金策に困っているのかのように毎回給金の前払いを求める書類を提出させ、仲間の夜勤をも金で買い取り、金の亡者的な印象も植え付ける会話も聞かせた。
更には剣の腕前も確かであれば、ベイズから下の者を配下にと申しこまれるまで左程時間を必要としなかった。

「皇太后を牢から出したのは私です。ベイズが副指令官の地位を利用し、オーラル殿の書室に入り込み、尋問許可書に判を押しました。釈放には最終的に宰相殿の認可が必要となりますからそれは無理でしたので」

「では、本来皇太后は現在でも投獄中の身なのか!?」

「はい。ですが確実なる証拠が無ければ48時間以内に釈放されます」

「だな。いや、如何言うカラクリで皇太后が牢から出る事が出来たのかと思えば、実は本来まだ獄中の身だったのか」

「では、オーラル殿を牢から出す事もこの者が居れば可能ですね」

「いえ。それは・・・・。私は書類の隠された場所も存じません。何よりそのような形で自由になる事をオーラル殿は望んでおられないと思います」

「まぁ、オーラル殿の場合囚われた事が事だけに48時間で釈放されるのは間違いない。それに、あの親子が表舞台から消えてくれれば直ぐに釈放されるだろう。囚われる理由が無い」

「だな」

「本来ならばここでオーラル殿の御身に危険が及ばぬ様に誰が監視を付けたい所だが、急には無理だな」

アイスラントは少し考えるような仕草を見せ、暫くするとオーラルの送り込んだ密偵に目を向けた。

「お前がオーラル殿に何か身を守る武器を握らせられる事は可能か?」

「はい。番兵とは顔見知りですので鉄格子ごしであれば接触は可能です。ソードは無理ですが、護身用の短剣でしたら」

「では、直ぐにでもそれを持たせてやってくれ。ああ、剣先には一様ベイズが利用した液体も塗ってやれ。脅しに利用するにしても効果は倍増するだろう」

「はい。承知致しました」

アイスラントは介添人としてこの者に会った時から何かしら違和感を少なからず感じていた。
それが何なのか掴めずにいたのだが、元ハビロードの配下と聞いて納得した。
ベイズが拘束されてからの下の者の働きは献身的なものでハビロードを慕うような所が随所に見られた。
そこで本当にベイズの配下の者かと尋ねたら、ニッコリ笑ってこう言ったのだ。

『流石にございます。私はオーラル殿の密偵です』と。


下の者がオーラルの許に無事短剣を差し入れした後、東殿に居た者は全員議会が開催される評議の間へと移動した。

良かったらポチッとお願い致します^^

にほんブログ村


総もくじ  3kaku_s_L.png パウリンの娘
総もくじ  3kaku_s_L.png 記憶の彼方とその果てに
もくじ  3kaku_s_L.png お知らせ&感謝
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • 【パウリンの娘《第28章2》】へ
  • 【パウリンの娘《第28章4》】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【パウリンの娘《第28章2》】へ
  • 【パウリンの娘《第28章4》】へ