パウリンの娘

パウリンの娘《第28章8》

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評議の間では王と皇太后が見つかったとの知らせが入って来た。
頭を抱え項垂れたのは皇太后の父だった。

「浅はかなお考えでしたね。マベラス侯爵」

「わっ、私は何も」

言った先から額の汗は更に量を増していた。

「まぁ、良いでしょう。そう言う事にしておきましょう」

アイスラントは不敵に見据え微笑んだ。

おそらく東殿での現状を目にした侯爵は、このままではかなり不利な状況だと言う事を瞬時に読み取ったに違いない。
一緒に侯爵と先立って退出した者の様子も何処か落ち着きが無かった。
東殿を後にしたその足で娘である皇太后に城を出るように勧めたに違いないだろう。
侯爵への尋問のさ中、扉の外からくぐもった女の叫び声が聞こえて来た。

(『離しなさい!! 無礼ですよ!! 覚えてらっしゃい。貴方は打ち首よ!!』)

皇太后だ。間違いない!
唯責務を全うしているだけの兵にその言葉は無いだろうと、良心のある者はきっと同情したに違いない。

「お出での様だ」

宰相が声をかけると、大扉が開かれ、何時もとは違うかなり質素な装いで、王と皇太后が現れた。

まるで何かの仮装かと思わせるその姿に、重鎮らは一瞬どよめき立った。

「礼儀を弁えぬ不届き者は出て行きなさい!!」

皇太后の一声で室内は静寂を取り戻し、皆が一斉に頭を垂れた。

「もぅ嫌! この様な茶番は懲り懲りだわ!! 今日の緊急議会は中止します!! 皆下がりなさい!!」

皇太后は来るなり声を荒げて言葉を捲し立てた。

「いいえ、なりません。ここでは后陛下の独断はまかり通りませぬ。貴方は尋問されるべき側の者です。言葉を慎み尋問人席へ!」

皇太后が尋問席と聞き室内は再びざわめき始めた。
一体今日の緊急議会は何について話されるのか!?
内情を知らぬ者達には興味津々であっただろう。

「なっなななな何と言う無礼を!! 王様、この者を捉えてなさい!! この母にこのような振る舞いを・・・・!!」

ワナワナと声を震わせ、雌鶏が嘶くように叫び散らしながら怒りをぶつける皇太后。
ざわめきが一層大きくなったその時、宰相が木槌を叩いた。

「静粛に!! この場において本日の緊急議会開催申請のあった事案を急遽『王反議会』へと変更する。御認可頂ける方は挙手を」

聞きなれない王反議会の言葉に顔を見合わせる一部の重鎮達。
王反議会とは何か!?
本来重鎮として肩を並べるに当たり、この事は書面にて通達されている事項だ。
知っていて当たり前の事については口が裂けても知りませんなどとは言えない。
知る者は己の判断で、知らぬ者は最高位にある公爵に目を向けた。
国の最高位にある宰相並びにグルバルト両公爵の挙手に吊られてマベラス侯爵以外の者が挙手をした。

「7割以上の者の賛成により、翻案は可決された。以後『王反議会』としての裁断を下す。后陛下は速やかに尋問席へ」

皇太后は瞬時にその言葉を理解する事が出来なかった。

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