パウリンの娘

パウリンの娘《第28章11》

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父と完全に決別してしまった状況の皇太后には、もぅ頼るべき者は居ないだろう。
息子である王は議会が始まって一切口を開かず、だんまりを決めこんでいる。
とても当て等ならない。

「皆は皇太后である私の言葉より、このようなならず者の言う事を信じると言うの!? 侯爵も皆もこのような者に騙されるなんて、なんて無様なの!!」

「そのお言葉、そっくりそのままお返しさせて頂きます」

アイスラントは深々と頭を下げた。

「なっ!!」

皇太后は怒り心頭で顔を真っ赤にして震えていた。
今にも更なる言葉がその口から開かれようとたした時、またしてもあの忌々しい木槌の音がそれを遮った。

「静粛に!!」

口惜しそうに皇太后が顔を背けて席に着いた。

「さて、皇太后。貴方にはもぅ一つの罪を認めて頂ければならない」

「もぅ一つですって!? 私はまだ何一つ認めた訳ではないわ!」

ツンとそっぽを向いたまま、皇太后は目を合わせようともしなかった。

「実はここに1冊日記がある」

「日記!?」

「これは亡き前王の主治医の遺品をお借りしたものだ」

「遺品ですって!?」

皇太后の顔色はみるみると変わって行った。誰の目にも狼狽する姿は明らかだった。

「これには当時、妊娠の兆候が見られてから診察を施した折の記述もある。告白文と言っても良い内容のものだ」

皇太后は思わずその場で立ち上がった。

「そっ、その様なものは存在する筈は無いわ!! あれは処ぶッ」

言いかけた言葉を飲み込んで口を堅く結んだ。

「まるで処分されたものがここにある筈が無いと言いたいようですね」

シザーレが厭味ったらしく含み笑いを浮かべながら言葉を発した。

「想像で物事を言うのはおやめなさい!!」

皇太后は狼狽えながらも気丈に振る舞っていた。

「前王崩御後、側近並びに身近な者達が相次いで原因不明の心臓発作で亡くなっている。その件については、今まで様々な疑念が抱かれては埋もれていった。真相を解明しようとしていた者は恐怖に苛まれ次第に城を離れて行ったが、それでも僅かに探り続ける者が居た。長きに亘り今まで実しやかにささやかれていただけだったが、今回やっとその展望が開かれた。この貴重な日記のお蔭でな。これにはその件に使用された毒物の記述もかかれてある。お聞きになりたいか?」

宰相が射る様な眼差しで皇太后を見据えた。

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