パウリンの娘

パウリンの娘《第29章2》

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こうなってしまえば厄介だ。
兵はこの評議の間に、議会中何人たりとも足を踏み入れる事が許されぬ事は知っているが王反議会の事等知る由も無い。
ここで王の交代劇が行われたなどとは夢にも思いはしないのだ。

「だから嫌だったのだ! 今更事を荒立てるからこの様な事になるのだ!!」

「我らの身に何かあればお主の責任だからな!!」

虚勢を張る者もいるが、叱咤する言葉も当然投げかけられた。

「言葉を慎め!! 新王殿下にそのようなお言葉は私が許しませぬ!!」

その場を諫めてくれたのは新王の親戚筋に当たるグルバルト公爵だった。
父である宰相も声は荒げぬがその後方で睨みを利かせてくれている。
有難かった。

「致し方ない。とにかく今はこの場を押さえるしかない。分かっていると思うが手傷を負わせる程度で良い。誰の命を取る事も許さん!」

「「「「御意!!」」」」

ブラックナイトの面々はアイスラントに従える。

「ラストール男爵!」

「はっ!」

「申し訳ないが貴方にはここに居る方々を守って頂きたい。我らが評議の間を出たら即座に内鍵を掛けて頂きたい」

「御意!!」

自ら持って来た2本の剣の内の1本を鞘ごと差し出すと男爵は額づき両手てそれを受け取った。

余程の事が無い限り、この場に押し入る事は恐らく無いだろうが、絶対的な数も足りず、この状況では元騎士の肩書を持つこの者にこの場を託すしかなかった。
アイスラントは事に備えて東殿を出る時に皆にも剣を2本ずつ持たせていた。
シザーレがミゲルに1本剣を手渡すと、ハビロードとブレインも各々1本ずつ剣を差し出し懐に忍ばせておいた短剣も傍に置いた。

「他にも腕に覚えのある者がいればご協力願いたい」

両公爵と共に証言にと訪れていたオーラル殿の密偵であった男も剣を手にした。

「私にもお手伝いをさせて下さい!」

当然だと言うようにアイスラントは大きく頷いた。

「勿論だ。貴方には別の事をお願いしたいと思っている。オーラル殿を地下牢から助け出してくれ。兵の力を削ぐにはオーラル殿に指揮をとって頂くのが一番だと思っている」

「御意!!」

剣を手に取ると皆が顔を見合わせて大きく頷く。
アイスラントが高々と剣を掲げると、他の剣を持つ者もそれに倣った。

「我が手に勝利を!」

「「「「「「我が手に勝利を!!」」」」」」

新王アイスラントはブラックナイトの面々を従え、評議の間を駆け抜けると扉の外へと足を踏み出した。

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