パウリンの娘

パウリンの娘《第29章3》

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密偵マチウスは城での奇襲を確認するとすぐさま、アイスラントの伝言を持って古民家に現れた。

「では、城内でやはり戦になってしまったの!?」

「はい。前王、前皇太后様が反旗を翻し虚勢を張っておられます」

アイスラントが新王に就いた喜ばしき知らせの後で、ローレライはやはりと思える言葉を耳にした。

「それ故、ローレライ様には落ち着くまでこちらでお待ち頂くようにと・・・・」

「それは無理!!」

即答だった。

「ですが!!」

「貴方には貴方に与えられた使命があるように、私にもそれはあるの。私の使命はゼロ・・・・いえ、新王殿下の婚約者と言うだけではないの!」

ローレライはマチウスを見据えて重々しい口調でそう告げた。

マチウスがこの場に訪れる少し前からパウリンは何度も光を発していた。
ゼロが映し出された時と同じくしてザビーネ様の姿が映し出され、最初は同じ時に何かが起こるのかと思っていたが、それは違っていた。
ゼロの災い事が終わったと言うのにザビーネ様の姿は依然薄れる事無く映し出され、更にはっきりとした映像となっていた。
依然兵に取り囲まれる姿が映し出されている。状況は動いても、まだ何も変わっていないのだ。
このままではどうなるか分らない。

マチウスは迷っていた。アイスラントは議会に臨む前にこう告げたのだ。

『だが、どうしてもあいつが譲らなければ、その時は悪いがお前が警護して、私の許まで連れて来てくれ。その途中で何があろうとそれは全て私の責任だ。お前の罪は問わない』

その時だった。

「・・・・ならば、私が行きます・・・・」

「サビエル!! あなたはダメよ! まだ寝てなくては!!」

「いえ。・・・・感覚も戻って参りましたし、少し位ならばお役に立てます・・・・」

この状況でサビエルを動かす事は危険だと分り切っている。
それなのに、それでもこいつは行く気でいるのか!?

「一つ聞いて良いか!?」

「はい」

「どうしてそこまでする必要がある!?」

「私は配下ですから・・・・。あの方が、ローレライ様の言葉を最終的に無下に出来ない事位分ります」

サビエルの言葉に促され、マチウスは覚悟を決めた。

「・・・・そうだ」

「えっ!?」

「ゼロ様はどうしても譲らなければお連れするようにと私が警護を預かった。後は私に任せろ。ローレライ様は私がお守りする。お前は後日に備えてゆっくり療養してくれ。戦いが終わればおちおち眠ってなんかいられなくなるぞ」

「そうですね」

サビエルはニッコリ微笑んだ。

「あのぉ!?」

「お仕度を。裏から、出来るだけ分らぬ様に入りますので少しでも身軽にお願いします」

「はい!! 有難うございます!!」

ローレライは護身用の短剣だけ身に着け、髪を束ね直すと直ぐにマチウスの元へと戻った。

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