パウリンの娘

パウリンの娘《第29章12》

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『最後の手段を投じよとの命だと思っている』と言うのは一体どういう事なのか!?
パウリンの力に未だ自分が知り得ない何かかあるのか?
覘き見た事の行方と告白じみたあの言葉の意味をどうしても知りたかった。
結局、あの後ローレライは待合室に戻らず、後を追って来てしまったのだ。

「これより先はお通し出来ません!!」

「王はこちらにいらっしゃるのでしょ!? 私には占議を伝える義務があるのです」

「いえ、しかし・・・・」

「そこをお退きなさい!! 私は前王姉であり、ザラゾール王の伯母ですよ! 無礼者!!」

ザビーネは持っていた扇子で静止させようとした兵の手をピシャリと跳ね除けると自ら扉を開いて謁見の間へと歩み出た。

「お久し振りねアゼリア」

「義姉上様・・・・」

実に十余年振りの再会だった。

皇太后は夫であるシルベラント王の死後、義姉となるザビーネと相いれぬ仲となってしまった。
完全とは言い難いが公の場以外での接触は無く、ほぼ惨絶状態と言っても良い程だった。

本来王の傍らで占受を授ける身であるザビーネは、ずっと王に占受を聞き入れて貰えないかと嘆願していた。
しかし、それは一度も叶えられることなく、ザビーネは収穫の吉凶を占う、一介の占い師としての占議を任せられた。
民の為、国に潤いを与える作物の吉凶を占う事も大切な事。
その仕事にも誇りを感じてはいるが、パウリンの処遇が本来あるべき姿として認められていない事にずっと憤りを感じていた。
作物の吉凶を占うのにパウリンは必要ない。
普通の水晶で十分なのだから。
そんな折だった。新しきパウリンの娘が映し出されたのは。
王に認められなくても、我がパウリンにはまだ使命が残されている事を知った。
それはザビーネにとって何よりも喜びで、息子の成長と共にパウリンの娘の成長を願い見守って来た。
そして、そのパウリンの娘は成長し、己の運命の相手である新王を導いた。
それが何人であれ喜んで受け入れ、自分はパウリンの後継者としての役目を終え、喜んで渡すつもりでいたのだが、まさかその相手が我が息子アイスラントであるとは思いもしなかった。
しかし、玉座に就いたと言ってもまだ周囲には認めて貰えず、玉座で踏ん反り返っているのがあの女とその息子だと思うと内なる想いを押さえる事は最早不可能だった。

「あなた方は一体どういうつもりでいらっしゃるの!?」

「謀反者を退治するだけよ」

「誰が謀反者ですって!? 私は全て知っているのよ。貴方の今までの所行の数々と、そして反王議会の決定内容もね」

ザビーネはそう告げるとニッコリ微笑んだ。

「だから何!? 全ては証拠よ。証拠さえ無ければ皆は私たちに傅くわ」

「貴方は!? ザラゾール。貴方も同じ意見と言うならば私にも取るべき手段があるわ! 次のパウリンの後継者に渡すべく為にね!!」

ザラゾールを見据えてザビーネが強い眼差しを送った。

「・・・・わっ、私が認めるも認めないもこれはここにいる皆の意思だ。皆は私が王だと認めてくれている。だから私が玉座を追われる必要は無い!!」

「・・・・分かったわ・・・・」

そう告げるとザビーネは懐からパウリンを取り出し高く掲げて目を閉じた。
次の瞬間、パウリンがゆっくりとその手を離れて宙を浮き、更に高く高く上がると光を帯びた大きな球体へと変化し、その中に映像が浮かび上がった。

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【お知らせ】 
長々とお待たせ致しました^^ 明日、5/14 ついに事件勃発で焦りまくり駆けつけるアイスラント。明後日、5/15 いよいよ衝撃の再会です。お楽しみに♪


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