パウリンの娘

パウリンの娘《第29章13》

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映された映像は何処か神殿のようだった。
若い娘と赤みがかった緑色の瞳の青年。
その姿に皇太后は狼狽を隠せず、次の瞬間声を荒げた。

「その者を捉えなさい!! 世を惑わすふとどき者です!!」

謁見の間の近くに常在していた兵にザビーネは難なく取り囲まれた。

「ザビーネ様!!」

その姿に隠れて様子を伺っていたローレライが飛び出した!

「お前は何者です!!」

「私はザビーネ様の後継者です! 邪魔立ては私がさせません!!」

ローレライは無謀にも常備していた短剣を腰から抜き取り、ザビーネを援護しようと前へ出た。
その迸る気迫は相当なもので兵もその気迫に押されて一歩後退するほどだった。

「ローレライ! 無謀な事は止めて頂戴!! 貴方に何かあったらあの子に何て言えばいいの!?」

言葉と同時に映し出されていた映像は消えていく。

「投影に集中してください、ザビーネ様!! これは覘き見た事の記憶の投影なのでしょ!? 今はここにいる全員の者に過去の現実を見て貰うことが一番重要です! 分かって貰えなければ、新王陛下の覇業はなされません!!」

確かにその通りだ。
だが、まさかこの娘に、このような強い面があろうとはとても驚きだった。
普段おっとりしているように見えて、その実しっかりしている。何も告げずともパウリンの力に開花した事により、お互いに通じる何かがあるのかもしれない。
ローレライの告げた事は正しくその通りで、今この時にこの事実を明かすことは一番重要だった。
目を閉じて意識に集中すると、再び投影は開始された。

知りながら、王に告げられなかった真実の投影。
今度は先程の二人の睦み合う姿だった。まるで恋人同士のように。
その後場面が展開し前王たる者の嘆く姿。困惑する中、手を取り合う娘と王。
産まれた赤みがかった緑色の瞳の赤子を慈しむ娘の姿が映し出され、それにより王の出生が明かされた。
兵さえも固唾を飲み固まった様に動けない。
ローレライも映像を見入って気付かなかった。

映像が王のグラスに何かの薬物が注がれている場面に差し掛かった時、見入る兵の隙をぬって何者かがその脇に触れた。
ハッとして振り返るとそれは皇太后で、その手に握られている短剣を目にしてローレライは己が剣で持っている事も忘れて放り出すとザビーネを思いっきり突き飛ばした!

映像は皇太后が薄ら笑いを浮かべる場面で瞬時に途切れ、宙に浮いていたパウリンは床に落ちると飛散した。
その瞬間、床に伏したザビーネは勢い余って転がる皇太后の持つ剣先に血が付いている事を確認した。

まさか・・・・まさか・・・・。

「ローレライ―――っ!!」

ザビーネの悲痛な叫び声に、謁見の間の近くまで来ていたアイスラントは剣を抜くと、近くにいた兵を物ともせずに切り付け倒して行き、謁見の間へ駆け付けた。

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