パウリンの娘

パウリンの娘《第31章1》

 ←パウリンの娘《第30章9》 →パウリンの娘《第31章2》
アイスラントは執務室で頭を抱えていた。
自分が玉座を頂くと決まってから殊の外面会依頼が多いのだ。
今は政務に追われてそれ所では無いと断り続けていたのだが、即位後更にその数は増した。
あまりに邪険にするのも如何かと言う事から再三に渡り依頼のあった者と面会すると悉く孫娘であるとか、縁戚の娘を連れ立っており紹介される始末。ほとほと手を焼いていた。

「どうしてこう言う事になるのだ!?」

「それは、ほら、少しでもお前とお近づきになりたいからじゃないの?」

「既に婚約者の居る私と近づきになってどうするのだ!? 意味が分からん!!」

「それはほら、・・・・側室・・・・とか!?」

「馬鹿を言え!! 私はその様な者を受け入れるつもりは毛頭ない!!」

アイスラントは執務室の机を握った拳で叩きつけ立ち上がり、両断した。

それはそうだろう。アイスラントの普通の女に抱く嫌悪感は半端では無い。異常と言っても良い程だ。
若き日に負った苦い経験がトラウマとなっている事は無視できない事実だが、大元に実の姉が関わっていた事がおそらく最大の要因なのではないだろうか。
だが、あの娘と出会って少しは変わった。両極端ではあるが一定のタイプの女のみ、どうやらその枠を1つ乗り越える事が出来たように思う。
天然タイプ・・・・いやいや流石にもぅこの言い方は不味いか。おっとりしているが根はしっかりしていて根性もある、物欲が無く生き物を大切にする、地位に対する価値観の欠落、要するにこの中の何れかが入っていればそう無理なく会話をしているように思う。

「分かっている。だから俺も再三に渡り言っては居るんだが、全く聞き入れてくれない。会えば何とかなると思っている節がある。ほら、お前、以前のように令嬢等に対して冷酷で無くなっただろう? どうやら婚約したから女嫌いは治ったと思われているみたいだ。 それに結婚してしまえば王妃にお伺いを立てなければならないが今の内なら邪魔者は居ない。ならば今が最大の好機と思っているきらいがある」

アイスラントは苛立ちを隠せずに頭を両手で無造作に掻き毟った。
確かに気持ちは分かる。やって来る奴皆が皆、こいつが毛嫌いする根源を作った女等に何処か似た所があるのだから。
それでも、王となった以上あからさまに毛嫌いするのも流石に不味いと思い、きちんと一通りの挨拶だけは令嬢方にもしていた。そこは当然と言えば当然の事だが、こいつなりにかなり努力をしていると認めざるを得ない。
だが、それが不味かったとは当初夢にも思わなかったのだ。

「無理に繕うのが悪かったのか? 分かった。これに関してはもぅ地で行くぞ。化粧の分厚い奴には毎日顔を作るのが大変だろうと問うぞ。香水のキツイ奴には気分が悪くなると言うぞ。色気で迫る奴には反吐が出ると言ってやるからな!!」

本当に嫌そうに怒りに満ちた形相だ。

「いやぁ、流石にそこまで言うのはマズイと思うぞ」

硬派な王だと思われるのは良いが極端な女嫌いが民衆にまで流れる事は良しとしない。

「では、どうしろと言うのだ!? あのジグニード侯爵の孫娘、昨日も勝手にやって来たぞ! それに祝辞に来たと言ってこの3日居座っているマフィアナとかマフィニアとか言う奴も何時まで滞在する気だ! 早く追い返せ。国庫の無駄な支出が多くなる」

「ジグニードの孫娘は側近として登録されている。それに隣国アリタリス国の王女様に対し、その言葉はあんまりだろう・・・・」

「ジグニードには休暇をやれ! あいつが休んだ所で何の差し支えも無い!」

「そこまで言うと身も蓋もない・・・・」

「とにかく、ジグニードの罪を早く暴き出せ! お前の下にいたあのロイエルに対する暗殺未遂に恐喝、恐らくそれだけの不祥事では無い筈だ。それと王女は早急に追い出せ!!」

「侯爵の方は今詰めさせている。じきに片付くと思うが、王女の方は努力はするとしか言えない」

侯爵は身を守ろうとアイスラントの気を引こうとやっきになっているのだろう。あわよくば孫娘を側室にと思っているのだろうが、王女の方が全く本当の目的が掴めないから始末が悪い。

「あいつに会いたい・・・・」

深いため息をついた後、ポツリとアイスラントが漏らした。

お妃教育の一環としてローレライがアイスラントの実家であるオードラルの屋敷に行って早2週間。今やローレライの存在自体が己の精神安定剤的存在になっているアイスラントにとって、既にこの状況は限界に等しかった。

良かったらポチッとお願い致します^^

にほんブログ村



総もくじ  3kaku_s_L.png パウリンの娘
総もくじ  3kaku_s_L.png 記憶の彼方とその果てに
もくじ  3kaku_s_L.png お知らせ&感謝
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • 【パウリンの娘《第30章9》】へ
  • 【パウリンの娘《第31章2》】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【パウリンの娘《第30章9》】へ
  • 【パウリンの娘《第31章2》】へ