パウリンの娘

パウリンの娘《第31章2》

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ローレライはグルバルトの屋敷にて王妃としての教育を受けていた。
一日の始まりは毎日早朝に神殿にあるお清め場で身を清める事から始まる。
このお清めの儀式内も今回から城に共に上がる侍女の付き添いが認められる事となった。
勿論それは、前回の不祥事が事の発端となっている。
神官長の新しい側近だったサイナーはその後任を退き、地元の教会の司教となった。
いつでも前王受け入れると言っているそうだ。
お清めが終わると朝食後午前中は王妃としての心得、作法についての教えを学び、午後からは王家の歴史と役割等についてを学ぶ。
午前中は専門の先生がついての指導である為いつもピリピリしているが、午後からは元皇女で義母となるザビーネが指導に当たっていた。
ザビーネの方は指導と言っても、話を交えながら会話を楽しむと言う形式を取っており、雑談や昔話も交えてローレライはいつもこの時間をとても楽しみにしていた。

「ローレライ、そう難しく考えなくてもいいのよ。どのような行いが民の為に一番なるかなんて、私でも分からないわ。でもね。人の基本は衣食住なのよ。衣服と食べる事と住む所。この3点がなければ人間は真面な生活を過ごせなくなるわ。有るべきものを当然のものと捉えるのではなく、有難いと感謝する心を忘れなければそれでいいの」

「それで、ザビーネ様は施設を運営されているのですか?」

国庫にその様な余裕も無い事もありザビーネ様は自らがきっと立たれたのだ。
そのようなザビーネ様を見て育ったからアイスラントはあんなにも公爵家の子息でありながら慎ましやかな生活を満足し、必要以上の贅沢を嫌うのだ。

「それもあるけれど、やはり育った環境もあるかしらね? 私が子供の頃に大きな流行病があって多くの者が亡くなり貧困にあえぐ時代が続いたの。王族だからって贅沢は許されなかった。想像できる!? 王宮の調理場に給仕の者が居なくなった時さえあるのよ」

「ええ!?」

当時は侍女が簡単な賄をこなしていたのだと言う。それには流石に驚いた。
その後何とか復興を遂げ、穏やかな時代が暫く続いた。特に一番上の姉君の頃は何もが恵まれていたのと最初の子と言う事で随分と甘やかせてしまった事を後悔しているらしい。
その点、間が空いて出来たアイスラントの2歳上のお姉さまとアイスラントは、子供時代に荒れ始めた国内の現状を見て育った為か、かなり物の捉え方自体は異なるらしい。

「ただね。貴方もきっと近い内に会う事になると思うのだけど下の娘が凄く慌ただしい子なのよ。悪い子では無いのだけれど家出癖があって、毎月必ず1度は家出して来るの・・・・」

「御家との何か揉め事でもあるのでしょうか?」

良く聞く、嫁姑の問題か? はたまた殿方の浮気によるものか?
貴族の間では殿方の浮気は甲斐性の内だと称する者も多く居る事は以前から知ってはいた。
だが、自分の育った環境下では無関係な事柄だった為、現実として捉える事は今まで無かったのだが、王都周辺の方が盛んだと言う事は聞いていた。
昨年、社交界デビューが決まった折、父からくれぐれも殿方には気をつけるようにと注意を受けた。
だが、王室では基本側室も認められている事から陛下が申された時には素直に受け入れるようにと今回の王妃教育で知らされた。
歴代の王にしても半数は側室を抱えていた事は知っていたし、それは仕方が無いと思っている。
それにこの結婚は政略的なものだ。アイスラントが自分を女性として見てくれない以上、それ以前の段階で自分にはそのような権限はきっと無い。
でも・・・・、少しは夢見る位許されるだろうか? あの眼差しが親愛的な物だけでは無いと。
もし、アイスラントが自分に一欠けらでも異性としての愛情を傾けてくれたならば・・・・。

「ローレライ!?」

心ここに非ずのローレライにザビーネが声を掛けた。

「すみません。つい、午前の授業で教わった事を思い出してしまったら、色々考え込んでしまって・・・・」

「ローレライ。お妃教育はあくまで基本的な事よ。絶対にそのようにしなければならないなんて言う事は無いわ。もし、教えられた事と自分の気持ちの間で困った事があったら必ず相談するのよ。アイスラントに言う事が難しければ私でも構わないわ」

「有難うございます・・・・」

ローレライは溢れ出そうになる涙をそっとハンカチで押さえた。

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