パウリンの娘

パウリンの娘《第31章7》

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ザビーネは息子との会話の後、すぐさま3階の東奥の客室へ向かった。
そこでローレライに今からアイスラントが部屋の前まで来るが、会話をするだけで決して扉を開けぬ様に注意を促した。
会ってしまえば最悪、式の延期を余儀なくされるだけでは済まなくなるかもしれない事を話すとローレライは真剣な眼差しで頷いた。
それは勿論先に告げられたアイスラントも同じだった。

母に告げられた時刻になり、アイスラントは東の奥の客間の前に辿り着くと部屋の扉を小さく叩いた。

「ローレライ。私だ」

『アイスラント』

「元気にしていたか? 何か不自由な事は無いか?」

『とても快適に過ごさせて頂いているわ。いつも皆様に良くして頂いてとても感謝しています』

「そうか・・・・。本当は城を出る前に、お前に話したかったのだが・・・・。あの後中々会いに行く時間が取れなくなってしまって済まなかったと思っている」

就寝前に必ずローレライの部屋を訪れていたのは最初の2週間だけで、結局正式に即位してからは会いに行く事も咎められるようになってしまった。
既に傷も塞がり床上げもした若い娘の部屋に、正式な婚約者と言えど王妃教育を控えたこの時に、夜遅くに会いに行くなど不謹慎だと重鎮等に咎められたのだ。
その為、夜しか時間の取れないアイスラントは結局、以降ゆっくり会う時間もままならなくなってしまったのだ。
だから先ずはその事を謝った。

『そんな事、気にしていないわ。それより少しは睡眠が取れているの? 体調は? 私はその事の方が心配だわ』

「大丈夫だ。以前より夜は時間が取れるようになった」

『そう。それは良かったわ・・・・』

やはり、アイスラントの睡眠を邪魔していたのは自分では無かったのかとローレライは少なからずこの時落ち込んだ。

「ローレライ・・・・。実はお前に話さなければならない事があるのだ。本当はゆっくり時間をかけて話し合った方が良いのだろうが、・・・・時間が無いから用件だけ言う」

『何!?』

「バラサインの部屋で、お前とあの時した約束は無かった事にしたい。・・・・お前は形だけの関係と言った。私もそれに同意した。けれど、あれは本心では無い」

『どうして?』

「えっ!?」

『どうして今になってそんな事・・・・。だって、あれはアイスラントが望んだ事だわ』

「私が望んだ!?」

“ 私はそのような事を言った覚えは・・・・? ”

『良いの。貴方の私に対する気持ちは理解しているわ。今更・・・・いえ、無理をしてくれなくても良いの。私はただ貴方の傍に居られるだけで幸せだから。有難う。色々気遣ってくれて・・・・』

「ローレライ?」

“何だ!? 何故勝手に自己完結してしまっているのか?”

結局、その後ローレライが扉から離れてしまった為、会話は中断された。

実はつい数時間前、ローレライはある話を偶然耳にしてしまっていた。
伝令の者が戻って来て、アイスラントがこちらに来る旨を知らせてくれて、とにかく嬉しくて、窓ごしからでもその姿を垣間見ても良いか聞こうとザビーネの部屋の扉を叩こうとした時だった。中から話声が聞こえて来たのだ。

『えっ!? アリタリス国の第3王女様が!?』

『はい。何でも陛下がお傍に置くのではないかと言う話が城内で噂になっておりまして・・・・』

『いい? この事は他言無用よ。特にローレライには絶対に悟られないように気をつけて。当人に確かめもせず、憶測の段階で口にするのは良くないわ』

その話は、正にお妃教育の一環で教わった、側室と言う言葉を連想させた。
それにまだ正式に結婚した訳では無い自分にとって、各上の王女様の存在が今の自分の地位を脅かす様にも感じられたのだ。

このような状況下でのアイスラントの今の言葉は、突拍子がなくとても不誠実に思えた。何も知らなければアイスラントの言葉を素直に受け入れられたかもしれない。
だが、あの話を聞いてしまった以上、何か後ろめたいことがあるからではないのかと言う疑念が拭いきれないのだ。
ずっと待っていた筈の言葉が、とても残酷に聞こえた。 

“神様は何て意地悪なの?・・・・”

扉の外から何度も呼ぶアイスラントの声を聞きながら、ローレライの瞳は涙に濡れていた。

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~ Comment ~

NoTitle 

「神様が意地悪なんやないで、ローレライはん。あんたが想像力過多なだけや。まったく、この家に嫁いできたのも、パウリンの導きというより、なるべくしてなった、『類は友を呼ぶ』や」(^^;)

ポール・ブリッツ様 

そうそう。神様がイジワルなのではありません。ローレライの性格的な問題大です。
正しく、『類は友を呼ぶ』=アイスラントが惚れる筈です(笑)
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