パウリンの娘

パウリンの娘《第31章8》

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ローレライの言葉が耳から離れない。どう言うつもりであの言葉を否定したのか?
でも、その言い方はとても自分を否定しているとは思えないものだった。
その様な事を考えながら政務がはかどる訳も無く、ここ数日アイスラントの頭の中は以前にも増してローレライの事でいっぱいだった。
そんな所へ滞在中の王女の父である隣国アリタリス国王より親書が届けられた。
その内容がとても異なことで、アイスラントは更にその意味が掴めず頭を悩ませていた。

王女が祝辞を述べてから1週間は何の理由があってこちらに留まっているのかも分らぬままだった。
シザーレが用も無いのに長居されるのは、国庫の安定を図るべきこの時に迷惑だと真実をそのまま述べると、実は見学したいものがあると突然言い出した。
それならば最初からそう言えと言いたかった。
お蔭でまた口うるさい重鎮数名が、今度は王女様をお妃に迎えてはどうかと馬鹿げた事まで言い出した。
このような話がローレライの耳にでも入ればそれこそ更に厄介だ。

結局見たいと言うのは今回新設された厚生医薬省で、特に調薬学に興味があるらしい。
責任者のハビロードに言いつけて方々の視察に同行させた。
ローレライが城に戻るまで一週間を切り、とにかくアイスラントはそれまでにこの王女を自国へ戻そうと躍起になっていた。
そこに王女より、今一度お会いできないかとの要請があると告げられた。
全ては王女に聞くまで解決しないと思ったアイスラントはその要請を直ちに受け入れた。

「お忙しいのにお時間を取って頂き申し訳ございません」

「それは、良い。で、私に話しと言うのは一体何だ?」

「率直に申します。私を、この国に置いて頂けませんでしょうか?」

「何だと!?」

一番想像したくなかった王女の言葉にアイスラントは一瞬固まった。

狼狽を隠せないアイスラントに、シザーレが付け加える。

「それはどの様な意向で? 申し訳ございませんが最近実しやかにささやかれている噂が原因であればそれは我が国としてお受けできません」

キッパリと言ってのけた。

「噂!?」

「・・・・いえ。御存じないのであればお忘れ下さい」

それを聞いて傍に居た王女の侍女が耳打ちした。
どうやら城内でささやかれている噂話を王女の耳には入れていないらしい。

「まぁ! そのようなお話が!? どうしましょう!」

頬に手を添え、途端にオロオロし始めた。

“これは芝居か? それとも本心か?”

「昨日ラスク王より親書を頂いた。『娘の意向は既に聞いている。良しなにお導き下さることを希望する』とあったがこの意図を実は掴みかねている」

「まぁ、お父様が!?」

王女の瞳は急に爛々と輝き、表情も何処か緊張が解れた様に途端、とても雄弁に話し始めた。

実はこの王女は調薬学にとても興味があるらしく、ハビロードの祖父であるブルーバード元男爵を尊敬してやまないらしい。
多くの書籍も既に読破し、ハビロードの過去出した数冊の書籍も知っていた。
それで用件はこうだ。
ブルーバード元男爵は弟子を取らない事で有名だが、是非その御膝下で調薬学を学びたいのだそうだ。
孫弟子は多く居るが、過去の弟子は7人だけで、その内4人はハビロードを含む身内の人間だ。
そして何よりここ10年以上高齢であると言う事と、自己の研究に専念したいと言う理由から弟子は全く取っていなかった。

「お手紙は再三に渡り、お出ししているのですが全く良い返事が頂けませんでした。それで今回父にお願いして私が祝辞に参りました。少しでもお近づきになりブルーバード元男爵に御取次ぎ頂けないかと・・・・」

晩餐の席のみずっと一緒に強いられていたアイスラントは、いつも何か言いかけて口を噤むこの王女にイライラさせられていたのだがその言葉を聞き、頭の中の靄が晴れて行くのを感じた。

「この件をハビロードは?」

「いえ。父の許しも無く軽はずみな真似は出来ませんでしたので」

「宰相、直ぐに取り次いでやれ。尚書にはくれぐれも頼むと私が言っていたと伝えてくれ。頼んだぞ」

「はい。直ちに!」

シザーレがその場を離れ厚生医薬省へと向かう姿を見送り、アイスラントは胸を撫ぜ下ろした。

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