パウリンの娘

パウリンの娘《第31章9》

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ローレライがオードラルの屋敷での1か月のお妃教育を終え、城での実地を兼ねた教育が始まる前日、何とか隣国アリタリスの王女マフィニアが城を出て行ってくれた。
行先はグルバルト公爵家で、そちらに下宿すると言う形で月2回ブルーバード元男爵が教鞭を取っている調薬士養成所へ遊学と言う形で編入する事が決まったからだ。
そちらへは既に公爵家の長子であるブレイドも通っている事から公爵家はこの申請を快く受け入れてくれた。

ローレライを城へ再び迎える事になったこの日、アイスラントは朝から落ち着かずにいた。
やっと今日から晩餐だけはローレライと共にできるのだ。
顔を見て軽い話が出来るだけでも、想像するだけで心が躍るとは正にこの事だ。
だが、期待していた晩餐の席に、ローレライの姿は無かった。

「ローレライ嬢は戻ったのでは無かったのか?」

「はい。何でもお疲れとの事で、今日は自室にて頂くとの事でございます。お手紙を預かってございます」

「そうか・・・・」

手紙には『ごめんなさい』と、一言だけ添えられていた。
アイスラントはがっかりしたが、まぁ、今日は仕方が無いだろうと思っていたら、翌日も、翌々日もそれは続き、既にローレライが城に戻ってから1週間が経過してしまった。

“これは、どう考えても何かがおかしい!!”

届けて貰った手紙の返事は毎日受け取っていたが、内容はとても簡易的な短い言葉ばかりだった。
直接話がしたいと思っても、晩餐の席にさえ着いてくれない者に何の話も出来ないし、何よりそのような席ではどうしても込み入った話など出来よう筈も無い。
そこで先月から王妃付にと正式に雇い入れたローレライが12歳の頃より信頼していると言う侍女と直接話がしたいと申し出た所、その者は直ぐに快く承諾してくれた。

「わざわざ呼びつけて申し訳ない」

「いえ。私も王様とはきっちりお話ししなければと思っておりました」

ローレライの2つ年上だと言う侍女は、とても鋭い眼差しで王を射抜くように見つめた。

そのあまりに威圧的な態度に、何処か嫌な予感がした。

「如何言う話だろうか? ローレライが何故晩餐の席に姿を見せないのかと言う事と何か関係があるのだろうか? 理由を知っているのならば教えては貰えないだろうか・・・・」

アイスラントは穏便に話しを進めたいと言う思いから、侍女を落ち着かせるつもりで言葉選んで口にしているのだが、それが返って侍女の怒りを更に買ってしまった。

「何と言う白々しい態度なの? それは自業自得と言うものです! 式直前で、唯ですら緊張を強いられているお嬢様の御心を掻き乱す行いを働かれておいて、恥知らずにも程があります!! お嬢様は仕方がない事だとおっしゃられておりますが、本当はどれだけお心を痛められている事か・・・・。貴方が王様で無ければ私はここで引っ叩いて差し上げたい位です!!」

話が良く見えないが・・・・、侍女の怒りの矛先はどうやら自分に向けられているもので、それはローレライを酷く傷つけていると言う事らしい。
だが、アイスラントにはその理由が良く分からなかった。

「それは、如何言う事なのだろうか? 私はずっとローレライと晩餐を共にできる事を楽しみにしていたのだが!?」

「はぁ!? 繕うのがお上手です事! あちらの御方にはどの様にお話しされているのでしょうか? ああ、先だっても夜更けに会いに行かれたのでしたわね。お盛んです事。例え王女様がお相手でも正式に婚約された以上お妃になるのはお嬢様ですから! お嬢様を日陰者になど、私が絶対にさせません!!」

侍女の物言いに、アイスラントは愕然とした。
ローレライはもしかして、私の不貞を疑っていたのか?

「おいおい。それは何処からの情報だ!? あちらの御方も何も、こいつはローレライ嬢一筋だぞ!!」

傍に付き添っていたシザーレがあまりの衝撃で声も出ない様子のアイスラントの補佐に回った。

「この期に及んでその様な誤魔化しは聞きません。お嬢様が城に戻られる前にグルバルトのお屋敷に寵愛されている王女様を囲われましたよね? 3日前の夜にも会いに行かれている事はお嬢様付の者は全員知っております!!」

「・・・・誰だ。そのような戯けた事を言い出した輩は・・・・」

やっとの事で口を開いたアイスラントの唸るような低い声。
ピクピクと眉が痙攣するように震え、額には青筋が浮かび上がっていた。

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