パウリンの娘

パウリンの娘《第31章13》

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城に戻ってからローレライは淡々とお妃教育に身を置いていた。
仕上げの段階である国賓を迎えた折の所作や、身のこなし方も軽やかなもので指導者たちを唸らせる程だった。

「完璧でございます。もぅ私が口を挟む事もございません」

「いえ。まだまだです。もっと鍛えて下さいませ」

ローレライは王女様と比べられた時に、少しでもアイスラントに呆れられないようにと必死だった。

何時になく前向きな姿勢は自分の良く知るお嬢様とは全く異なるもので、その気丈な振る舞いが何処か痛々しかった。
教育を終えた後の姿は屋敷にいた頃の大らかで屈託のない笑顔を振りまくかつてのお嬢様の姿ではなく、何処か無気力で、遠く窓の外を眺めては時折ため息をつくと言うものだった。
世迷い話を聞いた最初の頃は毎日涙に濡れていたが、今は自分の前で泣く事も無くなり気丈に振る舞っている。
それでも朝方はたまに目が腫れている事もあり、心配して声を掛ければ寝付けなくて読んだ本がとても可哀想なお話でつい泣いてしまった等と言う見え透いた嘘まで付く始末。
その姿が痛たまれず、お嬢様をここまで追い込んだ婚約者を両断したくて仕方なかったのだ。
そこにこれ幸いとばかりに、話がしたいとの王様よりの要請。
一も二も無く飛びついた。

お嬢様の為ならば例え咎められても良いと、覚悟を決めて言いたいことを吐き出した。
だが、返って来た言葉は衝撃を受けているかのような想像とは全く異なったものだった。
聞いて行く内に、王様のお嬢様に向けられた深い愛情の様なものを感じる事が出来た。
これが真実で無かったらとんだ腹黒狸だ。
そう言えば、あの言葉がフリードル様の愛称だと伝えてかなり驚かれていたけれど、あれは何だったのか?(まぁ、良っか)

こうして侍女メイテルは愛してやまないお嬢様の許へと帰って行ったのだが、戻り、急ぎ報告へ向かおうと部屋の扉を叩いたら、お嬢様から帰って来た声は酷く怯えていた?

「あの・・・・お嬢様?」

「・・・・ここを、出て行かなければならないのね・・・・」

悲壮感漂うその声に、一瞬何の事かメイテルは理解出来なかった。

「・・・・お嬢様!?」

「荷物はもぅ纏めたの。長居すると離れがたくなるから貴方が荷物を纏めたら、今日中にでもお城を出て行きましょう」

目に涙を浮かべながらも気丈にもニッコリ微笑むと、ローレライはそう告げた。

“自分がほんの1時間ばかり部屋を空けただけで一体どうなっているのか?”

だが、次の瞬間、ローレライは無気力に膝から崩れ落ちた。

「おっ、おっ、お嬢様!?」

慌てて駆け寄り、肩を支えて抱き寄せた。

「で、でも・・・・、本当は出て行きたくなんかないの・・・・。ずっとゼロの‥‥、アイスラントの傍に居たいのよ!」

大声を上げて嗚咽を伴い泣き始めた。
そして気付いた。自分は所用の為少し席を外すとしか言っていなかったにも関わらず、王に呼ばれた事を誰かから聞き、更には行く前にこそこそと他の侍女等が話していた絵空話を、もしかして耳にしてしまったのかもしれない。
これは憶測だが、誰かが城から出されるのではないか等と言い出し、そうと思い込んでしまったのではないかと言う事を・・・・。

「お嬢様。違います! 全然違いますから!! 何も心配する事は無かったんです。王様はお嬢様の事を一番大切に思っていらっしゃいますから!!」

メイテルは何とかローレライを落ち着かせようと必死で叫び続けた。

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