パウリンの娘

パウリンの娘《第31章14》 

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目が覚めると、とても頭が重かった。
昨夜は、泣き疲れて眠った。
最初はとにかく悲しくて辛くてどうしようもなくて、その場から消えてしまいたい程だったのに、メイテルの一言で胸のつかえが少しだけ取り去られ、今度は安堵感と少しだけ希望も出て来た。

「おはようございます。お嬢様」

久し振りの、とても穏やかな朝だった。

「・・・・おはよう」

「あぁ、やはりまだ少しお目が腫れていますね。しばらくまた冷やされて下さい」

そう言うとメイテルが昨夜同様濡れたタオルを目元に宛がって冷やしてくれた。

「お仕度はサイドテーブルに置いておきますね。それから申し訳ございませんが暫くの間侍女が手薄になる可能性がございますのでお嬢様にもご自分で出来る事はやって頂きたいのですけれど・・・・」

「それは、勿論構わないのだけれど・・・・?」

“侍女が手薄になる?”

「それから、これはお願いなのですがお嬢様は暫くの間、今まで道理の状態を保ってほしいのです」

「それは、如何言う事・・・・かしら?」

「実は先程新しい餌を撒きましたの」

メイテルは含み笑いを浮かべ、とても楽しそうだ。

「餌?」

「これは宰相様の御提案で、お嬢様にこれだけの打撃を与えた者が何処にいるか探る為のものです」

実は王様との面会の後、部屋に戻ってからの出来事をローレライが泣き疲れて眠った後に、メイテルは宰相に即刻知らせたのだ。
どうやら何処からか仕入れた情報を、わざわざ噂として広めている者がローレライの周辺にいるのだと言う事を。
今までの話の出所は何処か分らなかったが、メイテルが王様に呼ばれて会いに行くと言う事は王妃様付となる女官や侍女しか知らない事だ。
お嬢様にも要らぬ心配をかけたくない事から伏せて王様の許へ出向いた筈なのに、帰って来てみればお嬢様は既にその事を御存じだった。
それは、故意的にお嬢様の耳に入るようにわざと仕向けている者が居るに違いないと言う事を思わせた。
本来屋敷に仕える者は噂的なものは聞いた時点で自分の中に納めるもので、上官以外の者に軽々しく口にするものではない。
たまに詰所で噂話を聞く事はあるが、それは仕方ないとしても、それ以外の場で公言する事は言語道断だ。
そこで、宰相は今回メイテルが詰所や諸々の場所で噂話をしている者を見かけた場合、とある話の種を差し出して様子を見ようと言い出したのだ。
メイテルはその計画に二つ返事で乗り、宰相より書かれた事柄を確認すると各々一人ずつに違う話を『貴方だけに教えるけれどこれは絶対に内緒にしてね』と言い種を撒いて行った。

「これで、そのままとりあえず数日放置します。その時お嬢様や私の耳にどの情報が入って来るかです」

「噂話を流した者を炙り出すのね」

「そうです。ですからお嬢様には、もぅお心も晴れたかと思いますが、暫く時々ため息をついたり、項垂れたりして頂きたいのです」

「何だか面白そうだけれど、少し可哀想ではない?」

「これだけお嬢様を傷つけたのですもの。きちんと炙りだしてその者を突き止めます!」

この策に引っかかった者は、既に離職する事が宰相との話で決定している。

シザーレの考えではその噂話の主は当初古くから城に仕える元皇太后付の侍女で今回王妃付として採用された者の中にいるのではないかと推測されていたのだが、それは見事に的中し、蓋をあければ元皇太后付で再雇用した者の中から実に5名、新規採用した者の中から2名の者が見つかり、一番驚いたのは侍女頭もその中に含まれていた事だった。
宰相は直々にその者等を呼び出すと、王から伝えられていた即刻解雇を命じた。

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