パウリンの娘

パウリンの娘《第31章15》

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王妃付の侍女が多く首を切られたと言う話は、またたく間に城の中を駆け巡った。
その発端は、お妃教育中の王様の婚約者に王の不貞を思わせる発言をし、その事を風潮した為だと聞いた城勤めの者達は、各々の職場の中でも一切この手の噂話をしなくなった。

そうした中、城に呼ばれたジグニード侯爵と孫娘はかなり怯えきっていた。

「こっ、こ、ここの度は誠に申し訳なく・・・・」

侯爵に先日までの強気な態度は何処にもなく、額の汗を拭いながら終始頭を上げる事が出来ずにいた。

「それは、どの件についてだ?」

「そっ、それは、孫娘をお傍に等と差し出がましい申し立てを致しまして・・・・」

「他には?」

「・・・・ございません・・・・」

この期に及んで隠し通せるとは思っていなかっただろうが、僅かな可能性に掛けたのだろうか? 浅はかとしか言いようがない。

「・・・・バイエルン男爵恐喝、並びにご子息暗殺未遂事件」

「そっ、それは!!」

「加えて元皇太后収賄事件、要人暗殺事件」

「めっ、めっそうもございません、私はその様な・・・・」

その言葉に宰相が睨みをきかせた。

「シルベラント王の主治医殺害の指揮を取ったのは貴方ですね!」

「ぞっ、存じません。私はそのような事は何も・・・・」

「可笑しいですね。牢の中の彼の方は命惜しさかやっと色々な話をして下さるようになりましてね。貴方に頼んだ暗殺計画も話されているのですが・・・・」

実はこれは真っ赤なウソだった。寸前の所までは探り出したのだが、随分昔の事で決定的な証拠となるものは見出せず、皇太后を囮に使ったのだ。

「わっ、私は殺してはいない! 実行犯では無い! 計画を立てて証拠を隠しただけだ! 」

シルベラント王までの政権下では策略的に殺人を犯した場合、殆どが絞首刑となっている。
その政権を望む新王にこれだけは信じて貰わなくてはと侯爵は藁をも縋る想いで全てを自供した。

「残念ですね。加担しただけでしたか。これでは自歳はお勧めできませんね。どうされます?」

「即位の席で私は申した筈だ。心にやましき行いがある者は自ら名乗り出よ。名乗り無く、後に判明した者は爵位を剥奪すると!」

「おおお、お待ちください!! それだけはお許し下さい。何でも致します!!」

「ほぉ、何でもすると?」

「はっ、はい」

「では、ここに署名せよ。お前は名門ジグニード家に婿として入った身だ。お前以前のジグニード家の家長は皆良識ある人物だった。血縁者の中にはそれを継ぐに相応しい人材もいる。奥方に事情を説明した所、喜んで署名して頂けた」

それは前侯爵の妹である者の息子に侯爵位を譲渡し、後見人に前侯爵を据える旨を記した書類と、妻からの離縁状、加えて嫁に出した長女とバイエルン男爵との離縁を認める事を書き記したものだった。

「本来ならばここまで譲歩する言われは無いが、前家長たるジグニード元侯爵までの王家に対する貢献は計り知れない。失うには惜しい。さぁどうする? お前は己の満足の為だけに自分がここまで築いてきた侯爵位が没収される道を選ぶか? お前には成人に満たない娘もまだ居るのではないか? その者に没落した貴族の娘としての汚名を着せるのか? まず貴族の家には嫁げないだろうな。まぁ、それでもお前には父マベラス前侯爵より譲り受けた男爵領があるゆえ、自身は貴族としての面目は保たれるからそのような事は関係ないか」

侯爵は苦痛に満ちた表情で震える手でペンを握ると書類3枚に署名、捺印をした。

「ではジグニード男爵、改めて申し渡す。17年間マビラスの塔での労働を命ずる。その間の領地の管理は推薦を許す」

事件から害される事も無くのうのうと生活して来た年月分、囚人更生福祉施設での労働を強要した。
既に60間近の男爵にとって、マビラスの塔での労働は、ある意味人生の墓場を意味する。

「おっ、お待ちください。それではあまりにッ!」

「言い訳をしたいか? 死んで行った者達はお前の様に口を開く事すら出来ずに居たのだぞ!!」

王はその言葉だけを告げると以降男爵の発言を無視した。

「孫娘イナゼア。今後王宮への出入りを禁ず。以上だ!」

「何を言い出すのよ! この恥知らず!!」

叫び散らすイナゼア嬢の言葉の一切を、王は聞き入れなかった。
弁明も聞かず、男爵はそのまま兵に捉えられ、孫娘は引き摺られるように退去した。

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NoTitle 

なんかこの章のアイスラントとローレライのやりとりを読んでいると、その夫婦生活が、志村けんと桜田淳子の昔のドリフのコント「私ってダメな女ね」を地で行くようなものになるのではないかと想像し、ニヨニヨが止まりません(笑)

また続き読みに来ます(^^)

ポール・ブリッツ様 

あははっ!
>その夫婦生活が、志村けんと桜田淳子の昔のドリフのコント「私ってダメな女ね」を地で行くようなものになるのではないかと想像し、ニヨニヨが止まりません(笑)

正しく正解です!
既に書き上がってる番外編にはその要素あるかも(笑)

楽しんで頂けて良かったです^^
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