パウリンの娘

パウリンの娘《第32章1》

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ジグニード侯爵の処遇を公にした新王の許には、次々と夥しい数の告白文書が届けられた。
これにより過去の事件絡みの真相は解き明かされる事になるのだが、調べる側の憲兵の任も一掃重くなる。
憲兵総監の任あるブレインは現在の人員では手が回らない状況に苛まれ、急遽応援申請を宰相に提出し、その任を王宮騎士統帥本部に任せた。
現在その長たるフリードルと憲兵総監ブレインの連携は殊の外手際よく、今まで滞っていた事件の多くを短期解決に導いた。
普段の公務の傍らで、事件の真相を追求し判決を下す。
国の復興も去ることながら、それを根回しする人間の労力も大変なもので、宰相シザーレと王であるアイスラントの王としての任もより一掃重くなって行った。

勿論、毎日の日課として取り入れた剣の鍛錬も全く出来ぬままであるが、それでも王は以前より終始にこやかに政務を熟す。

「おい。昨夜は婚約者殿との晩餐は一緒にできなかったんじゃないのか?」

「ああ。残念だった」

「その割にはやけに嬉しそうだな」

「そんなことは無い・・・・」

と、言いながら、何処か顔がニヤ付いてないか!? コイツ!!

婚姻を2週間後に控えた二人は今や晩餐の席で互いに顔を合わせるまでの修復を遂げていた。
アイスラントの不貞疑惑が解けて、ローレライが晩餐の席に最初に顔を出してくれたのは4日前。

何時ものように食堂へ足を運ぶと、席の対側には既にローレライが着席していた。
アイスラントの姿を目にして厳かに席を立って礼をするローレライの姿がとても軽やかで、可愛いと思った。
思わず駆け寄り抱きしめたかったが、そこはグッと堪えて何事も無い振りを装った。

「久しぶりだな。もぅ具合は良いのか?」

表向きは馴れないお妃教育による環境の変化と過労の為に大事を取って食事は自室で頂くと言う事になっていたが、実際は全てが分かった後は、泣きすぎて目の腫れが中々収まらず、恥ずかしすぎてアイスラントに顔を見せられないと言うローレライの心情的問題の為だった。
アイスラントからしてみれば疑いが晴れれば直ぐにでも顔が見られると思っていたので残念で仕方ない。
だが、それが乙女心と言うものだと侍女から告げられれば納得せざるを得なかった。
本心はそうでは無いにしても・・・・。
目が腫れようが、膨れようがアイスラントにしてみれば、そのような事は全く関係ない。
ローレライがローレライでさえ居てくれればそれで良いのだ。

「ええ。随分と御無礼を致しまして申し訳ございませんでした」

知らない者が居るからか、お妃教育の成果か。何処かいつもとは違う物言いに少し距離を感じたがそれは表向きとして仕方ないのだろう。

晩餐の席では食後のティータイムで、互いの今日の一日の様子を話し、終始和やかに過ごした。
少しはにかみながら教育の成果を話すローレライの姿がとても愛らしく、いつまでもこの時間が続いてほしいと願った。

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