パウリンの娘

パウリンの娘《第32章2》

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この3日間と言うもの、こうも違うのかと思う位、王の政務のはかどり方も全く違う。
別に今までも真面目に熟していたし、こちらから注意を促す事も無かったのだが、ここ数日の処理能力を見ているとただ慣れて来たと言うだけでは無い事は一目瞭然だった。
コイツは今まで何をサボっていたのか? と言いたくなるくらいに違うのだ。
きっかけは恐らく久し振りに直に婚約者と会えたことが大きいだろう。
久方ぶりに共に晩餐の席について一緒に食事をした翌日はいやにスッキリとした顔で執務室に姿を見せた。
長く続いた不眠からもやっと解消されたようだった。
やはり今やコイツの精神的バロメーターは婚約者ローレライ嬢で間違いないだろう。
それ故、昨夜視察先で多少のトラブルがあり帰宅が遅くなったこともあってローレライ嬢と共に晩餐の席へ就けなかったアイスラントは、今日はきっとさぞや不機嫌であろうと思っていたのだが、終始機嫌は良さそうなのだ。
一体何があったのか!?

「おい、昨日は良く眠れたのか?」

「まあな」

おお、何だ!? この少し照れたような仕草は!

「何かあったのか!? 白状しろ」

「別に、大した事ではない・・・・」

無表情を決めこんでいるようだが、無意識に顔か微妙に綻んでいるし、これは“別に”と言う表情では絶対に無かった。

「何だ、晩餐の君から手紙でも届いていたのか?」

「手紙もあった」

「手紙・も?」

そう言えば、一瞬“シマッタ”と、言う顔をした。

「・・・・スコーンと一緒に・・・・」

「毒見は?」

「・・・・・」

「まさか・・・・させなかったのか!?」

「・・・・‥。させた」

何だ!? この間は!!

「言ってあっただろう!? 何人からの差し入れであれ、毒見もせずに口に入れてはならんと!!」

「大丈夫だ。何とも無い」

「て、事はやっぱり毒見して無かったんだな!?」

「・・・・ローレライが私の為に作ってくれた物を、私より先に他の者が口にするのは耐えらん」

シザーレは頭を抱えた・・・・。
何処の世界に・・・・それも、今現在毒殺されたかもしれない先々王の事件を探っている最中に、毒見をせずに食べ物を口にする学習能力の無い王が何処に居るんだよ!!
確かに他所の王に比べて騎士時代色々やってきている分、微量の毒に対する抗体もあるかもしれないが、今こいつに何かあれば少しずつだがやっと復興の兆しを見せていたこの国は間違いなく滅びの一途を辿るのだ!

しかし、現実問題ここまでの入れ込みようはある意味危険だ。
嗾けるの間違っていたか? いや、どのみち一緒になる運命だ。遅かれ早かれきっとコイツなら惚れ込んでいたか・・・・。

「お前、王としての自覚が無さすぎる!!」

「そこまで言うか!?」

呆れた様に返せば、何処か締りのないこの顔。如何してくれよう・・・・。

「・・・・もぅ、良い! 今後お前への差し入れは一切を禁じる!! 」

「それは断る!」

即答だった。

両断する宰相の一言に、王の意見はその後聞き入れられる事はなかった。

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