パウリンの娘

パウリンの娘《第32章3》

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シザーレの両断に、しばらく立てついていたアイスラントだったが、その後は開き直った。

「まぁ、良い。式を挙げれば直接渡して貰えば良いだけだ」

そんな事を言い出した。
確かに、この王が毒見を聞き入れないのはおそらくローレライ嬢だけだろうし、今後何か問題が出てくれば、お妃に頼めば良いとシザーレは結局腹をくくった。
ローレライ嬢についての諍い事は、本人に言って貰う事が一番の効果的であろうから。

今のアイスラントは執務、会議、公務、そして婚礼衣装の仮縫いも今日で終わり、来週にはついに式のリハーサルまで執り行われる。
これ位の惚気は致し方ないだろう。
何せ、相手は女嫌いのコイツが初めて本気で惚れた相手だ。
どちらにせよ後は式まではつつがなく時が過ぎてくれればと願うだけだ。


そして、この日。
アイスラントも政務を滞りなくこなし、ローレライのお妃教育も仕上げの段階へと入り、婚礼衣装も出来上がり、式のリハーサルを明日へと控えた式の8日前、ローレライの許に1通の手紙が届けられた。

「この手紙ふざけていますよ。裏には“君のしもべ、ブレイドより”なんて書いてありますが、如何されます? 処分されますか?」

第一侍女のメイテルが、少し怪訝な表情で今日届いたローレライ宛ての手紙を確認していた。

城に届けられる手紙は、受け取る段階で逐一その出所がはっきりした物だけ城内へと持ち込まれる。
普通は受け取ったその場で担当の官史が仕分けし各部所へ届けてくれるのだが、最近に至ってはここへ届けられる前に例の騒動以降ローレライ宛ての手紙についてのみ宰相であるシザーレが差出人の名をチェックしてくれて、お付の者がメイテルに直接手渡してくれる。
メイテルもおいおい慣れればその任は自分が引き受けると言ってはいるのだが・・・・。
それにしてもふざけた書き方だ。一体どういった人物なのか?
この差出人の書き方でここへ届けられているのだとすればお嬢様の良く知る人物としか考えられないのだが・・・・。

「いえ、良いわ。誰だか分かるから」

「随分と・・・・ユニークなお知り合いですね」

そうとしか言いようが無かった。

「アイスラントの又従兄弟でグルバルト公爵家の次期当主なの。お城へ上がる少し前には随分とお世話になったのよ」

ああ、と思った。巻き込まれたの、間違いでは無いだろうか?

先日、王都でのお嬢様の交友関係を知りたくて、宰相様の下に出向いた。
その時聞いた話では、調薬学に興味があり会ったその日に一目惚れしたお嬢様に自ら作った惚れ薬を盛ろうとした要注意人物だと。
思い込みが激しい所があり、気にいればとことん忠誠を尽くす犬みたいな奴だが、公爵家との友好関係を引き続き保ちたい事から、決して敵にはしたくないと言っていた。

『すっかりご無沙汰しているが元気に過ごしているだろうか?
先日アイスラントから城で起こった二人の誤解話を聞いた。
凄い事になっていたんだね。
今、その渦中となった方は我がグルバルト家でお世話させて頂いているのだけれど、貴女が心配するような事は何一つないからそこは安心して。私が保障する。
来週はいよいよ君たちの結婚式だね。おめでとう。心から祝福するよ。
私からの祝儀に我が家に伝わる『秘密の書』に記されている秘密を君に教えてあげる事にした。
本当は、これはアイスラントが知りたがっていた事なのだけれど、直接あいつに教えてやるのはシャクだから、良ければ君から伝えてやって。きっと喜ぶと思う。
君の持っているパウリンにアイスラントが映し出された理由は――――――』

ローレライは記された内容に言葉を失った。

「・・・・そんな・・・・。こんな事って・・・・」

ローレライはその手紙を握りしめると震え出し、身体を抱え込むように身を竦めた。

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