パウリンの娘

パウリンの娘《第32章7》

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グルバルトの屋敷では大騒ぎだ。
突如新王が宰相と王宮騎士統帥本部長を伴いやって来たのだから、これは普通何事かと思うだろう。
最初に顔を見せた執事は大慌てで奥方を呼びに行った。

「陛下にはご機嫌麗しく・・・・。こ、この度は突然の御訪問、如何言った御用向きでございましょうか。・・・・まさか我が主人に何か不手際でもあったのでございましょうか?」

夫人はとても緊張した面持ちだ神妙に言葉を選んで口にする。
今まで見た事も無いその姿に、アイスラントはこの面々でやはり何の前触れも無く屋敷に訪れるのは不味かったと少し反省した。

「いえ。伯母上、突然驚かせて申し訳ございません。そのように緊張なさらないで下さい。公務では無く私は一個人としてブレイドに用があるのです」

「・・・・ブレイドに?」

夫人は何処か間の抜けた様にポカンと口を開けて一瞬放心状態になるが、直ぐに思い直して執事に息子を養成所から呼び戻す様に言いつけた。

程なくして戻って来たブレイドは、王となったアイスラントに対しても今までと変わらず悪びれる素振りも無くこう告げた。

「久しぶりだね。まさか自ら乗り込んで来るとは思わなかったけど、ローレライに聞いたんだ」

「あいつに、何を言った!」

「何だ。聞いてないんだ。だったら続きは教えてやれないな」

「何だと!?」

アイスラントはやはりコイツが事の原因だと確証した。

「でも、何故アイスラントが直接会いに来るなんて騒ぎになっているのか、私にはさっぱり分らない。真実を教えてあげただけなのにね。君たちの結婚祝いとして」

「・・・・結婚祝い・・・・だ・と!?」

アイスラントが隣で沸々と煮えたぎって行くのが傍から見ていても窺い知れる。

「こっちはその祝いの言葉のお蔭で今大変な事になっているのだぞ!」

シザーレが切れるアイスラントの前に言葉を口にした。

「へぇ~。では、ローレライの君への想いはその程度って事だったんだ」

「何だと!?」

傍で見ていた母は息子の暴言にオロオロするばかりだ。
止めなさいと時折促すが、それ以上何も言えずにいた。
次第に涙目になって来る母の姿に流石に少し絆されたのか? 空を見上げて考え込み・・・・、暫くするとその重い口を開いた。

「まぁ、いっか。とりあえずお前の狼狽する姿も拝めたし」

そう告げるとニッコリ微笑んだ。

「分かった。少し位ヒントをあげるよ。アイスラントだけこっちに来て」

王を手招きして何処かへ連れて行こうとする。

「おい、待て! 」

「護衛はダメだよ。今から少し邸に行くだけだから。ここから先はパウリンの後継者と王しか案内できない」

アイスラントもその言葉を容認し、そして二人の護衛に目を向けた。
その鋭い視線の先に向けられたものを無言で感じ取り、シザーレはフリードルと二人で顔を見合わせて大きく頷いた。

「本来、王と二人きりにさせる等許されない事だからな! 10分だけだ。それを過ぎたら二人で邸に乗り込むからな!」

「分かった」

アイスラントはそう告げると、ブレイドと共に邸の奥へと消えて行った。

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