パウリンの娘

パウリンの娘《第32章8》

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この書斎に足を踏み入れるのは何年振りだろうか?
少しだけ懐かしく辺りを見渡すと、一番奥だと告げられた。
一か所だけ書棚が隠し扉になっており、その奥には小部屋があった。
1つだけ置かれた本棚には何やら古い書物が並んでおり、その手前に古い木の机とランプが置かれていた。

「ここには、初代サランドル王の娘で我が家系のルーツでもあるオーロラの記した書と、その母から譲り受けた書物だけを保管している」

「このように沢山の書物が未だ存在していたのか?」

話が本当ならば本来王立図書館の保管庫にて厳重に管理されるべき代物だ。

「言っておくがここの物は一切持ち出しできないよ。本来ここへ入れるのはこの家を継ぐ者と当主だけなんだ。ただ、パウリンを受け継ぐべき者と王のみには状況により入出を許可すると言うオーロラの記述がある。だからさっきも言ったんだけど、この意味分かるよね」

アイスラントゆっくりと頷いた。

するとブレイドはその中から一冊の書物を手に取りアイスラントに手渡した。
アイスラントも見覚えのある書物だ。

「・・・・これは、『秘密の書』か?」

「そうだ、そこの137ページの第1項を読んでみろ」

丁重にページを捲り、言われた場所を開く。

『新たなるパウリンを持つ後継者が生まれし時、その治世は闇に埋もれ、暗黒の時代が訪れる。
やがて治世は終焉を迎え、パウリンの娘が新たなる王を導くであろう』

そこにはそう記されていた。

「これは・・・・、今までの出来事の全てをオルガゾーレ妃が180年の昔に予言されていたと言う事なのか?」

「そうだ。凄いだろ。パウリンの後継者へ受け継がれている『真実の書』には、ここから先の詳しい記述は記されてしないんだが、この書にはより詳しい記述が書かれてある。つまりは、絶対的に知らなければならない事以外の補助的記述がここには記されてあるんだ。でも、ある意味これを全て明かす事は脅威にも成りうる。それ故娘であるオーロラは母であるオルガゾーレ妃からパウリンの後継者としての自分へ渡されたこの『秘密の書』を隠す事にしたんだ。そして最低限必要と思われる記述のみを抜粋した『真実の書』を自らが作りだし継承者へ代々受け継がせた。古いオーロラの日記にはその告白もされてある」

それはあまりにも衝撃的な事実だった。

「母オルガゾーレ妃から受け取った『秘密の書』は門外不出の書として我が家に留め、ここへ厳重に保管したんだ。こうして本当の秘密は闇に葬られて来たんだ。何世代にもわたって。そして、この次のページにはお前が望んでいたパウリンに何故王が・・・・お前が映し出されたかも記されてある」

アイスラントが次のページを捲ろうとした時、その書物はブレイドによって取り上げられた。

「おっと。これについては本来王が知るべき事では無いからね」

「ならば、あいつにとっても同じではないのか? 教えたのだろう? そこに書かれている事を」

「知るべきだったかどうかは彼女が決める事だ。どの道この事が私にとって不利になるとは思えないからね」

「私を憚ったのか!?」

「とんでもない。最後に同じ土俵に立たせて貰いたかっただけだ。捉え方によっては私にとってもかなりのリスクとなる。アイスラントにとっては、そうだなぁローレライに不信感を抱いてくれれば私としては嬉しいかなぁ。それともぅ一つ、実は検証をしてみたかったんだ。オーロラの判断が正しかったのか否かのね。これを知って尚、ローレライ嬢が平素でいられるのか。そのままでいられれば、お前たち二人は本物になれると思うよ。でも、その様子だと、随分と戸惑っているみたいだね。まだまだ不完全な二人だったと言う訳だ。それって結構嬉しいかも」

「お前、最低だ!!」

「何とでも言え。これは私にとっても最後の賭けなんだ。それに、最初にこの事を知りたがっていたのはアイスラントだよ。だからこのタイミングでわざわざ教えてあげたのにな。私の憧れを奪って行くんだから、これくらいの小細工は許してくれるだろ? まぁ、安心して。それでローレライ嬢が自暴自棄になったら遠慮なく私が貰ってあげるから」

ブレイドは楽しそうにそう告げた。

「誰がお前に等に渡すものか!!」

「式まで後1週間か。せいぜい見放されないように頑張ってよ。あっ、そろそろ時間だ」

そう告げブレイドは『秘密の書』を棚に戻した。

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