パウリンの娘

パウリンの娘《第32章10》

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窓辺から差し込む陽射しは穏やかで、園庭の水辺には番の鴨が降り立ち仲良く顔を寄せ合っている。
あの番の様になれたらどれだけ幸せだっただろうか?
何も知らずにただ寄り添って、傍に居る事が出来れば、どれ程幸せだったか・・・・。
そんな事を思い浮かべながら戻る事の無い出来事を日がな振り返る自分がホトホト情けなく感じて来る。
深いため息をついたその時だった。

「レライ? 俺だけど、入るよ」

その、懐かしい声に即座に反応し、扉の方へ振り向くと直ぐに駆け寄った。

「お兄様!!」

満面の笑顔でそう告げると、その首に腕を回して抱きついた。

「相変わらずだね。お妃教育の成果でどのように厳かな令嬢に変身しているのかと思ったけど、やはりレライはレライだ」

ルシオンも笑みを浮かべてそう告げた。

「当然でしょ。どう繕ったって本質は変わらないもの。でもお兄様はどうして? 明後日、お父様達と来る筈では無かったの?」

「メイテルに手紙を貰ったんだ。周囲の目もあるからね。一人で来た。妹の一大事に、そんなに悠長には構えてられないだろう? 心配をかけるから父上と母上にはまだ何も伝えていないけど、これで良かったんだよね」

ローレライは大きく頷いた。

「・・・・聞いたのね・・・・」

「今、アイスラントにも会って来たけど、とてもレライの事を心配していたよ」

「・・・・そう・・・・」

「喧嘩でもした?」

ローレライは大きく首を横に振る。

「違うの。アイスラントは全然悪くないの・・・・。全て私のせいなの・・・・。私がアイスラントの事・・・・、ゼロの事、好きになっちゃったから・・・・」

ローレライの瞳からじわじわと涙が溢れて来て、やがて大粒の涙が零れ落ちた。

意味が分からない・・・・。

「それの何処が問題なの? これから夫となる人物を好きなる事はいけない事なの? アイスラントだってレライの事、凄く大切に思っているよ」

「だから、一緒にいられない。私にそこまでアイスラントを縛る資格なんてないの・・・・」

「縛るも何も・・・・」

ローレライは懐に仕舞ってあった手紙をルシオンにそっと差し出した。

「・・・・読んで・・・・」

「良いの?」

大きく頷いた。

その手紙は先日ブレイドから送られたもの。
ルシオンはその手紙を開くとゆっくりと読み始めた。
最初目に入って来た裏書に、ふざけた奴だなぁと思ったが、読み進めて行く内に・・・・、固まってしまった。

「・・・・何? コレ・・・・・。じゃあ、アイスラントがローレライに好意を寄せているのは・・・・」

ローレライは大きく頷いた。

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