パウリンの娘

パウリンの娘《第32章12》

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晴天に恵まれたこの日、サザーランド国の王都は活気に満ち溢れていた。

先日即位した新王が即位式で公表した婚約者との挙式を迎える。
街の至る所には国旗が掲げられ、商店街の店先には花々やこの日の為に作られたお祝いを彩る新しい品々が所狭しと店頭を賑わせていた。
かつてのサザーランド国を彷彿とさせる活気に、良き時代を想い出し、涙する者の姿もある。

城の前には厳重に警備がなされ、やじ馬が外から侵入する形跡が無いか数日前から昼夜問わず城外苑の見回りを増員し、今日に至っては通常の3倍にもなっていた。
式の時刻か近付くにつれ、城の周りに集まる市民の数もおのずと増えて行く。
今や新王の人気は絶大で留まる事を知らない勢いだ。
この日神殿での挙式の後、新王夫妻が城に移動し3階のバルコニーから皆の前に王妃のお披露目を兼ねて一般参賀が行われる。
それを目当てに遠方から訪れる者もおり、開門を待つ市民でごった返す城の前では兵は何かあっては一大事と全神経を集中させていた。 

城に隣接される神殿には多くの貴族が煌びやかな衣装に身を纏い、今か今かとその時を待っていた。
中でも、一番緊張を強いられていたのは祭壇の前に身を置き、神官長の傍で佇み白い正装に身を包んだ王の姿だろう。
その胸には騎士時代に幾つも獲得した勲章が付けられていた。

彼が願っている事は唯一つ。
花嫁が、本当にこの場に来てくれるか否かだった。

来賓席には国交のある国の国賓と各々の家族と主だった貴族達、そしてこの国を支える新たな重臣達。
やがて緊張を強いられている王の目前で、厳かに讃美歌が流れ始めた。
その歌声に、少しだけ緊張の和らぐのを感じながら、続いて響き渡るパイプオルガンの音色が聞こえて来て、流れる祝婚歌にアイスラントは身を凍らせた。
本当に花嫁は現れるのか!?

やがて後方の重厚な扉が開かれ、差し込む光と共に現れたのは待ちに待った純白のウェディングドレスに身を包んだ愛しい者の姿だった。
その傍らには、父であるアシュド伯爵の姿。
アイスラントは、その姿に震えながら安堵し大きく息を吐き出した。

一歩、二歩と音色に合わせ自分の許へと歩み寄る、愛しい花嫁の姿は眩しい程に輝いて見えた。

「私の宝です。娘を頼みます」

祭壇の少し前で歩み寄り娘を差し出した伯爵は、そう告げると潤んだ瞳をそっと伏せた。

「必ず、幸せにしてみせます」

それはアイスラントにとって、何があっても必ずローレライを守り抜くと言う決意でもあった。


アイスラントの腕に手を添え、そっとその横顔を見つめた。
何て素敵なのだろうと思った。
今自分に向けられる優しい眼差しが真実の姿で無いとしても、今だけはこの幸せに浸りたいとローレライに思わせた。
自然と瞳から涙が溢れて来る。
神官長の説教の後、皆で讃美歌を賛唱し続いて述べられる神聖なる言葉。

「アイスラント・ゼロード・フォン・オードラル。貴方はローレライを妻とし、順境にあっても逆境にあっても、病める時も健やか成る時も共に助け、敬い愛と忠誠を尽くす事を誓いますか?」

「はい。誓います」

「ローレライ・オーロラ・アシュド。貴女はアイスラントを夫とし、順境にあっても逆境にあっても、病める時も健やか成る時も共に助け、敬い愛と忠誠を尽くす事を誓いますか?」

「・・・・・ちかい・・・・ます・・・・・」

ローレライは胸を詰まらせる。

指輪が交換され、アイスラントがローレライのヴェールを捲る。
今にも零れ落ちそうな瞼の先にアイスラントはそっと唇を落すと、次の瞬間二つの唇が重なった。
制約となる花嫁への口づけは、少しだけ荒々しく、その情熱の迸りにローレライはホロリと涙を零した。

「ここに二人の婚礼が成立した事を宣言する。神の御前にてお二人の誓いが、永久にあらん事を、切に願う」

“本当にこの時が、永遠のものになればいいのに・・・・”

目前に大きな告白を控え、更にローレライの心は震えていた。

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~ Comment ~

NoTitle 

きゃうっ!v-238
ご結婚おめでとうございます~~~~~v-314v-300
あら~!いいとこに来たわ~~~(笑)
よかったね~~~~!!!
…………とりあえず?^^;

これからお話し合いかな?(^m^)
でもまぁゼロくんがどうにか丸め込むでしょうから~(多分)
happyhappyかな~~~?v-238
…だといいなぁ~~~~^^

はのん様 

レス遅くなってすみません><;

有り難うございます^^
とりあえずは良かったわよね♪
そうそう、これからお話し合いで、お話し合いが出来ずに終わって、今夜UPでどう言う状況だったかが良く判ります(笑)

ゼロはねぇ、結局丸め込まれた?ってか待った掛けられて彼も頑張ったんだけど、その状況が今日明らかになります。
もぅ彼もいっぱい、いっぱいなんですよ(苦笑)
書きながら同情したくなったわ^^;(でも、勝手に彼らがこぅ動くからそのまま筆の走るまま書いちゃいました^^;)
でも、もぅアイスラントが行動移すの目前です♪
今日からUPで最終章なので^^

いつも有り難うございます^^
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