パウリンの娘

パウリンの娘《第33章2 -終章-》

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こいつは絶対に何処か王としての自覚に欠けている。
結婚した以上直ぐにでも跡継ぎをと望む声は王侯貴族のみならず、国民の間からも既に囁かれている。
式当日の一般参賀においてもその声は多く耳にし、それを王であるこいつが知らぬ筈は無かった。
その状況にも拘わらず『それまでに何とかする』だのと言う半端な答えは、何処まで周囲に通用するのか!?
シザーレが心配するのも頷けた。
ここまで思われて妹は幸せだと思う反面、この義弟の存在が恐ろしくもある。
義弟の行動は兄としては賞賛に値するが、同じ男として・・・・王としては如何かと思う。
これだけ雄々しい王が、たかが一人の女にここまで振り回され等と誰が想像しただろうか!?
あのシザーレは流石だ。宰相を任じられただけの事はある。全てをあいつはお見通しだったのだから。

とは言え、執着が激しいこの義弟に、もしあの事を告げればどれだけ落胆するか? はたまた怒りが浴びせられるのか想像が出来ない。
ハッキリ言って自分が口にして良いものかとの迷いは未だに捨てきれない。
だが、妹が自ら言葉を口に出来ない以上、このままにはしておけない。良い筈が無い。
この状況をこれ以上長引かせるのは絶対に不味い!
妹の為にも、国の為にも、そしてこの不憫な年上の義弟の為にも・・・・・。

「一つ聞いて良いか?」

「何だ?」

「お前は・・・・、何故レライと結婚したんだ!? 玉座を手に入れる為か?」

「何を言っている!?」

「違うのか?」

「あいつの望みを叶えてやる為だ」

「それは、如何いう意味で!?」

「全てだ。あいつは私の全てだから何があっても離れられんし嫌われるような事はだけはしたくはない。その為に王になった。玉座に執着は無いが任された以上、やれるだけの事はやる。あいつの望み道理、私は必ず立派な王になって見せる!!」

最後は何処か吐き捨てるように放たれた言葉。
この義弟も既に余裕が無いのだと感じ取れた。
それに加え、今までの出来事が全て妹の為だと言い切る始末。これはかなりの重傷だと思った。
やはり、あの手紙の記述は真実だったのだ。そうでなければこれ程の執着は普通有り得ないだろう。

「そこまで思われて、あいつは幸せ者だな。だがある意味それが今、一番あいつを苦しめている」

「・・・・どう言う意味だ!?」

アイスラントが真剣な眼差しで問い正す。

「あの、ブレイドとか言う奴の手紙には、全部覚えてはいないがこう書かれてあったんだ。『パウリンを抱きし娘はその器となって王の愛を勝ち取るだろう』だったっけ? いや、もぅ少し長かったが・・・・、まぁそんな事が書かれてあったんだ」

「何だと!?」

アイスラントはその言葉に怪訝な面持ちでルシオンを見据えた。

「つまりは、お前が王として選ばれた理由は、レライがお前を好きになったからだと。そしてあいつに選ばれたお前は自分の意志とは関係なく、知らなと所であいつに引き寄せられて行った。それも無意識に」

「・・・・何を言っている!? では、何か? あいつは今の私のこの気持ちがパウリンに操られているとでも思っていとでも言うのか!?」

アイスラントは馬鹿馬鹿しいと言いたげに鼻先が抜けるように薄ら笑いを漏らした。

「その通り。あのブレイドとかと言う奴の見解はこうだ。あいつがパウリンの力に目覚めた時、何らかの作用が働いてお前はレライに囚われた。だからお前のレライへの想いは疑似的なもので本物ではないと。でも、レライが幸せなんだから祝福するとか書いあったが、俺はふざけた野郎だと腹が立った」

その言葉を聞いてアイスラントは呆然とした。

“今まで自分がここまで悩んできたものは、一体何だったのか!?”


あまりに衝撃が強かったのか!?
想像道理の義弟の反応に、ルシオンは少し途惑い恐る恐る声をかけた。

「・・・・大丈夫か!? だが、これが事の顛末なんだ」

神妙な面持ちでそう告げると、今度はクツクツと突然笑い声が聞こえた。

「そうか・・・・。そう言う事だったのか。そうなんだ!!」

微妙な・・・・何処か狂喜してしまったかのような義弟の薄ら笑いを浮かべる表情に、ルシオンは全てが終わったのだと理解した。


『リンク付きあらすじ』に33章追加UPしました。一部ネバレ表記ありです(笑)

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