パウリンの娘

パウリンの娘《第33章5 -終章-》

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出会ってからずっと、こいつのこの消極的に考え方に振り回されて来た気がする。
今回もそのお蔭でしなくても良い回り道をする羽目になった。
自分とは全く違うこの感覚が最初はとても苦手な筈だったのに、いつの間にか引き込まれ、振り回されて来た。
出会った頃はともかくとして、少なくとも自分の気持ちに気付いてからは、ローレライに変な誤解をさせるような素振りを見せた記憶は一度も無かった。
だから当然、パウリンの出来事がある前に、もしかするとこの想いに気付かれているのかもしれないと危惧した事もある位だった。

「全部受け止めてやる。全て吐き出せ」

抱き寄せられ、耳元でアイスラントの優しい声に囁かれ、ローレライはやっと勇気が持てた。

「・・・・ずっと夜帰って来なくて・・・・、今日こそは話そうと決めていたのに・・・・帰って来なくて・・・・、きっと、今まで嘘をついていた罰だって思ったの・・・・」

「それから?」

「・・・・それに最初の約束・・・・。私の事・・・・女として見られないって言っていたのを聞いたの。その言葉がずっと頭から離れなくて・・・・。でも、ずっと優しくしてくれたから少しだけ期待もしてしまって・・・・。それがパウリンの力のせいだったって知って、やっぱりこんなに都合よく好きになんてなって貰える筈がなかったんだって思ったの。それでも私はやっぱりゼロの事が大好きだから・・・・、だからいつか貴方に心から好きな人が出来るまでは邪魔にならないように、せめて傍で見守ろうって決めたの」

「それは、どうかな?」

アイスラントは苦笑いを漏らした。

「ほんとに決めていたのよ。ここまで巻き込んでしまって今更なんだけど、貴方のこれからの幸せを一番に考えようって決めていたの。・・・・でも、こんな事されたら嘘でも良いって思えて来る自分も出て来て・・・・。もぅどうしたら良いのか分らなくなってしまう・・・・。もぅ期待なんてしないって決めていたのに・・・・」

泣きながら必死に告げられたローレライの告白に、アイスラントは歓喜に震え、その腕に力を込めるとローレライを強く抱きしめた。

「もぅそのような事を思い悩む必要は無い。お前のパウリンに映し出される以前から、私はお前に惚れていた・・・・」

突然の告白に、その胸に顔を埋めていたローレライは、回す腕を緩めるとアイスラントを見上げた。

その面差しは目を背けたくなるような厳しいものでは無く、少し照れたような柔らかな笑顔だった。

「嘘。・・・・だってシドと、あの時・・・・バラサインで私の事、話していたでしょ? 私の事・・・・女として見た事が一度も無いって言っていたもの・・・・」

あの時と言われ、少しだけ考え込み・・・・、次の瞬間アイスラントはハッと息を飲み込んだ。

「・・・・あの時・・・・、扉の外に居たのはお前だったのか!?」

「・・・・言ったでしょ!?」

ローレライの瞳は潤み、上目使いでアイスラントをじーっ見上げている。

アイスラントは頭を抱えた。
聞かれて困るようなものでは無いとあの時は思っていたが、困る相手が一人だけ居た・・・・。

「・・・・言った・・・・。確かに昔からそう思っていたし、言ったが・・・・、聞くなら話は最後まできちんと聞いて行け!」

“だから話がややこしくなるんだ!!”

盗み聞きを最後まで聞いて行けと言うのは可笑しな話だが、この時アイスラントは心底そう思った。

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