「パウリンの娘」
パウリンの娘 《番外編》

幸福の行方1 ~パウリンの娘番外編~

 ←パウリンの娘《第33章11 -終章-》(完) →幸福の行方2 ~パウリンの娘番外編~
サザーランド国の宰相の妹である子爵家の令嬢サンドラは、王の結婚を期に自らも近くに家を与えられた兄に代わり家を整える為やって来た。
忙しすぎて自分は全く手がつけられないからと兄に泣きつかれたのだ。
また勝手な事をと思ったが、どうやら休みも本当に取れないらしく、最低限の内装と備品を整えるだけでも良いからと言う事だったので2、3日で済ませてさっさと帰宅するつもりだったのだが、来てみればかなりの豪邸で、とても直ぐに終わりそうもない。

「こんな大きな屋敷を私一人で如何しろって言うのよ」

邸を見上げあんぐりと開いた口が塞がらない。
2階を全て客室にと言っていたが、2階だけでも10部屋はありそうだ。
1階はプライベートと衣食住が賄えるようにしてくれとの事だったけれど・・・・。

ホントに此の所、良く兄に頼まれごとをする。
先だっては何やら当時兄が関わっていた職場の支部の給仕仕事。
新王が立って兄の所属していたブラックナイトは事実上解散し、皆が王室お抱えの騎士に戻った事もあり支部は閉鎖された。
何れその場所は調教馬場としての再起をかけるにしても直ぐには無理との事だった。
やっと全ての事から解放され、自宅へ戻りやれやれと思えばこの始末。
全く落ち着けない。

兄から屋敷には採用した執事夫妻がいるからと聞いていたので、とりあえず呼び鈴を鳴らし、出て来るのを待った。 

「良くいらっしゃいました。お嬢様」

「ハビネスさん!?」

そこに現れたのはあの支部で管理を任されていたハビネス夫妻だった。

何でも新王が立ちブラックナイトが解散し、あの場所が閉鎖される事になった折、新王から次の職に就くまでオードラルの屋敷で主人は執事として、夫人は給仕長としての指導を受けるように言われたらしい。
やっと其々が仕事を飲み込めたと思った頃、アイスラントから次の話が来たのだ。
宰相シザーレの屋敷の執事と給仕長として、管理を任せると。

「ここは王家所有の建物です。何代か前の地方領主であった宰相の為に用意された屋敷だそうで、もぅ何十年も空き家となっておりました」

一人暮らしの兄に一体どうしてこのような屋敷が必要なのかと思ったが、それを聞いて納得した。
しかし、ここを兄一人の為に宛がうとは何と羽振りの良い事か。

「空き家にしている方が管理は大変なのです。家は人が住まなくなると荒れるものです。確かに独身の宰相殿には大きな屋敷ですが、何れご結婚もされるでしょうし、その内手狭になるやもしれません」

あの兄が結婚? 一体何時になる事か・・・・。
いやいや、どうみても部屋の数は1階だけでも家族が居ても事足りるだろう。今でも余った部屋で執事夫妻は泊まり込みをしている位だ。

「旦那様は2階を若い騎士に破格で貸し与える事もお考えの様ですので、有意義なご利用方法かと」

成る程。流石は兄だ。そう言う所は抜かりない。

「何だか私大変な所に来てしまったみたいねぇ・・・・」

サンドラは苦笑いした。

それから、とにかく兄の指示道理2階は全部屋客室として整え、兄の書斎や私室は1階に整備したがそれでも部屋は余っている。
サンドラが屋敷に来てから10日程したある日、久し振りに帰って来た兄はその様子にとても満足してくれた。

「殆ど良い感じに揃ったし、何も無ければ後2~3日で纏め上げて帰りたいと思っているんだけど・・・・」

「いや、実はもぅ一つお前に頼みたいことがあるんだ」

「また!?」

サンドラは流石にゲンナリした。

「お前、春からロワイヤル伯爵家に行儀見習いに出されるって言ってなかったか?」

「そうよ。だから今の内に色々帰ってやっておきたい事もあるのよ。ホントは行きたくないし、私には必要ないって言ったんだけど、お父様が勝手に決めて来ちゃって・・・・」

「父上は、お前の羽根っ返りな性格を随分気にしていたからなぁ。やはり、マファニアみたいに最低でも貴族でなくとも良い家に嫁いで貰いたいんだろうな」

「私、そんなのガラじゃないんだけど。姉様と違って花を生けるより弟たちと木登りしている方が楽しいし、それに私は自分の事を分かっているから」

「いや、そんな事はない。お前は十分魅力的な女の子だよ。現にあいつより大口のアテもあるにはあるんだが・・・・。どうも、奴の気質が私は気に入らんのだがな・・・・」

「・・・・お兄様、何を言っているの!?」

「いや、何でも無い。それより、その行儀見習い先だが、もしかすると変わるかもしれんから、そのつもりでいてくれ」

そう告げると兄は疲れたからと言って先に休んだ。

押して頂けると励みになります^^

にほんブログ村




総もくじ 3kaku_s_L.png パウリンの娘
総もくじ 3kaku_s_L.png 記憶の彼方とその果てに
総もくじ  3kaku_s_L.png パウリンの娘
総もくじ  3kaku_s_L.png 記憶の彼方とその果てに
もくじ  3kaku_s_L.png お知らせ&感謝
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • 【パウリンの娘《第33章11 -終章-》(完)】へ
  • 【幸福の行方2 ~パウリンの娘番外編~】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【パウリンの娘《第33章11 -終章-》(完)】へ
  • 【幸福の行方2 ~パウリンの娘番外編~】へ