「パウリンの娘」
パウリンの娘 《番外編》

幸福の行方5 ~パウリンの娘番外編~

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サンドラは再会の時に感じていた少しの胸の鼓動が、急激に早くなるのを感じていた。

“えっ!? ええぇ!? 何!? 今なんて言った!? ”

最早、先程の二人の戯言はすっかり頭から抜け落ちていた。

「・・・・はい・・・・、ルシオン様のお気持ちに気付かれて、このままではシザーレ様が任務に支障を来しそうな程に心を乱されるのではないだろうかと真剣に悩まれておりましたので、アイスラント様とその場しのぎの画策を・・・・」

サンドラの耳は、ある種の言葉のみに大きく反応し、自分でもどうしていいのか分らない。
ランドンの『ルシオン様のお気持ち』と言う言葉に大きく反応し、胸の鼓動が耳にまで聞こえて来る程だった。
それなのに何事も無かったかのように続けられる二人の会話。
何処に矛先を向けて良いのか戸惑い、その瞳は落ち着く事無くおよいでいた。

「もぅ、お兄様ったら・・・・」

恥ずかしさを打ち消す様に兄に責任転換を擦り付ける。それが精一杯だった。

「あの場合、ある意味仕方なかったのです。議会の計画はシザーレ様のお考えでしたし、失敗する訳にもいかず・・・・。アイスラント様も不本意の御様子でしたが致し方なく・・・・。
結局、その場限りで協力はするが、その後はどうなろうが知らぬと申されておりました。以後はルシオン様を応援するような口ぶりでございました・・・・」

妹を気に掛ける男の存在がそれ程までに目障りか? 気になるか? 確かに気になる。
自分も妹の恋心を知った時、相手の存在に気付いた時、あの完璧な相手ですら喜べなかった。だが、妹の場合その恋が成就するとはとても思えず、傷つく姿が哀れで、そこまでの感情を持ち合わせていなかったが、もしシザーレと同じ立場だったとすれば・・・・?

「あのシザーレがそこまで・・・・」

同じ妹を持つ兄として、そうとしか言えなかった。

「はい・・・・」

シザーレの気持ちが分かり過ぎる程分かるから・・・・。
あの可愛い妹が確実に幸せになれると分かっていても、幸せを願う反面で何処か今ですら寂しさが拭えない。
今まであれだけ自分を頼っていた可愛い妹が、きっとこれからは自分では無くあの夫となったアイスラントを確実に頼る事になるだろう事は疑う余地が無かった。
自分もアイスラントがいけ好かない奴ならきっと今日の時点で本気で別れさせていた。
だが、あいつが自分以上に妹を大切にしている奴だと嫌と言うほど理解できたから認めるしか無かった。
あそこまで自分を押さえ付けてまで妹を大切にしようとしている男を如何して否定出来るだろうか?
だが、これが自分のような頼りない男だったらどうだ!?
きっと難癖つけていたに違いない・・・・。
だから強くシザーレを責められない。

「今更ですが、ルシオン様がおそらく1週間程で立ち直るであろう事は分かっておりましたので、私も協力させて頂きました・・・・。この国の未来の為に・・・・」

ルシオンはその言葉に大きな溜息をついた。

「もぅ、良いよ」

「えっ!?」

「嘘」

「はぁ!?」

「俺もお前に嘘ついたから、これで合いこだ」

「るっ、・・・・ルシオン様・・・・」

「俺、人を陥れるとか、画策するとか凄く嫌いだけど、お蔭でレライが幸せになったんだから、もぅそれで良い。それにシザーレの気持ちも分かるから」

その言葉を聞き、サンドラはある事を思い出す。

「有難うございます・・・・」

その傍らでランドンは声を震わせて、深々と頭を下げた。

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