「パウリンの娘」
パウリンの娘 《番外編》

幸福の行方6 ~パウリンの娘番外編~

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この人は、何て人なのだろう。
最初は唯の楽天家と思っていたら、実は凄いお人よしで、純粋なのだと思えて来た。
兄とは真逆な裏表の無い嘘偽る事を知らない純真無垢な人。間違っても人を騙すなんて芸当は出来ないだろう。

サンドラは支部に居る時からルシオンに変な印象を全く持っていなかった。
純粋に育った良いとこのボンボン、それがルシオンの第一印象だった。
だから付き纏われても女ったらしでも無さそうだし、純粋に楽しい人だと思っていた。
それがある時パタリと姿を見なくなり、暫くして目にした姿に呆然とした。
あの底抜けに明るかった爛漫ぶりは影を顰め、何がこの人をこんなにも変えてしまったのかと少し気になり始めた。
何処か物寂しく感じられ、人が変わった様に自分に纏わりつく事も無く、自分に対し距離を取ろうとしていた。如何したのかと思った。

それから程なくして事態が終結し、それぞれが各々の場所に戻ったのだが、実はたまに屋敷に帰ってからも想い出すルシオンとの出来事があった。
あの、雨の日の出来事を・・・・。


あれは、サンドラが大切にしていた髪飾りをうっかり無くし、探していた時だった。

『どうしたの!?』

降り出した雨の中、久方ぶりにルシオンが雨よけをかざし声を掛けて来た。

『あっ、いえ。大した事では・・・・』

『何か探し物!? この雨の中探す位だから凄く大切な物なんじゃないの!?』

凄く心配した様な優しい問い掛けだった。

『・・・・良いんです。無くして困るものでもありませんから。それより、お互い風邪をひいては大変です。もぅ中へ入りましょう』

『良いの?』

『はい』

そう言って一旦中へ入った。

それからどうやって聞き出して探し出したのか? ルシオンは支部を去るその日、久しぶりに最後のあいさつにと姿を現した。失くしたはずの髪飾りを持って。

『えっ!? 何処でこれを!?』

『何処でも良いじゃん。それよりこれで間違いない!?』

『・・・・はい。実は兄が初めての給金で買ってくれた物なの。無くしてしまったなんて言い辛いなと思っていたので助かりました。有難うございます』

『やっぱり大切な物だったんじゃないか!』

『えっ!?』

『その髪飾り、ここに来てからいつもしてたよね。それってもしかしてシザーレが居る時いつも付けてたんじゃない!? お兄さんに喜んで貰えるように』

サンドラはルシオンを凝視した。

『・・・・やっぱり・・・・。こう言う事は早く言えよ。こう言う物を探す時は一人でも多い人数で探した方が絶対に早く見つけ出せるんだから!』

『はい。ごめんなさい。・・・・でも、どうして!?』

『えっ!?』

『どうして分かったの!?』

『あの時探していた場所、シザーレを見送る時に君が手を振っていた辺りだろ!? 同じだよ。レライも俺と出かける時、いつも俺が誕生日にプレゼントした髪飾り付けてくれるんだ。嬉しいもんだよ。プレゼントしたもの付けて貰えるって』

その言葉に何故だか少し泣きそうになった。

『・・・・有難う』

『見つかって本当に良かった』

ニッコリ微笑むとルシオンはそれ以上何も言わずに支部を後にした。

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