「パウリンの娘」
パウリンの娘 《番外編》

幸福の行方8 ~パウリンの娘番外編~

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サンドラはルシオンを見送ると自室に閉じこもってしまった。

『何処にいても君の幸せを祈っているよ』

あの言葉は、もぅ会えないと言う事なのだろうか!?
もぅ、今日は散々だ。
彼の事が気になっている事に気付き、告白めいた言葉も貰ったのにこちらの気持ちも全く聞く事無く幸せを祈ると言われて去って行った。

「私の気持ちを、かき乱さないでよ・・・・」

その言葉をポツリと呟くと自然と涙が溢れて来た。

今、ハッキリ分かった。自分はルシオンに恋をしているのだと・・・・。

邸に戻ってからもあれだけ彼の事が頭から離れなかったのは、きっと既に好きになっていたからだ。
何故もっと早くに気付けなかったのか!?
もっと早くに気付いていれば違う道も開けたかもしれないのに・・・・。

その晩は食事も取らずに部屋に閉じこもりひたすら泣いた。

翌日になり、少し落ち着いて朝食に顔を出す。

「まぁ、サンドラ様! どうなさったのですか!?」

泣きはらした腫れぼったい目に気付かれ、夫人からびっくりされてしまった。
少し濡れタオルで冷やしたくらいでは誤魔化しきれなかったようだ。

「なんでも・・・・ありま・・・・」

声を出そうとしたが、如何してか声が詰まって上手く喋れない。
するとまたまた、枯れ果てた筈の涙が瞳から溢れて来る。

「・・・・苦しいの・・・・。こんな事、初めてで・・・・、もぅ辛すぎて、如何していいか分りません・・・・」

「おい、どうしたのか!? 腹でも痛いのか!?」

執事のハビネスは、普段元気だけが取り柄のようなサンドラがここまで落ち込んでいるような姿に戸惑っている様子だ。

「大丈夫ですから私に任せて下さい」

夫人は全てを分かっているかのような対応でサンドラを胸に抱え込み、夫にピシャリとその一言だけ告げると別室へ連れて行った。


「気付いたのね、自分の気持ちに」

サンドラはコクリと小さく頷いた。

「近くにいる人を好きになるのも大変だけど、遠くにいるともっと辛いわね」

サンドラはまたも頷く。

「・・・・も・・・・、あえない・・・・かも・・・・しれな・・・・」

嗚咽を伴いながら何とか言葉を口にし、またまた涙が溢れて来る。

「あらあら、随分悲観的なのね。貴女らしく無いじゃない」

夫人はニッコリ微笑みそう告げた。

「だて・・・・こんな・・・・初めてなんだもッ・・・・」

喋れば喋るほど涙は留まる事を知らない。どんどん溢れて来る。

「大丈夫よ。またルシオン様はじきに現れるわ」

「・・・・ほん・・・・と!?・・・・」

「またローレライ様のお顔を見に来るつもりだと言ってましたから、サンドラ様が侍女に入るつもりがあるならばその時勿論会えるでしょうし、貴女の気持ちに気付けば間違いなくもっと会いに来ると思うわ」

「・・・・そう!?・・・・」

「これでも貴女より男を見る目はあるわ。あれは貴女の事を諦めている感じじゃなかったわ。何か決意した感じだった」
「・・・・決意!?」

サンドラは、その言葉に少しびっくりして、心が跳ねた。
ルシオンが何をしようとしているのか?
この時、誰も想像出来なかった。

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