「パウリンの娘」
パウリンの娘 《番外編》

幸福の行方9 ~パウリンの娘番外編~

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サンドラが王妃付の侍女として城に上がって早い事に5か月が過ぎようとしていた頃、突如その者は現れた。

「やぁ、サンドラ。元気にしてた?」

「ルッ、ルシオン様!!」

サンドラはびっくりして口をパクパクさせている。
サンドラがここに入ってから頻繁に訪れるであろうと予測したハビネス夫人の予想を裏切り、それはかなり久しぶりの訪れだった。

「まぁ、ルシオン様、お久し振りです」

「やぁ、メイテル。レライは? 元気にしている?」

「はい。いつもお健やかで、とても幸せそうにしていらっしゃいます。ねっ」

そう言って、サンドラに同意を求める。

「はい。とてもお幸せそうです」

「そう、それは良かった」

ニッコリ微笑むと、部屋に入って行く。

『まぁ、お兄様!! いらっしゃい。いつも突然でびっくりするわ。 言ってくれればお兄様も大好きなナッツ入りのシフォンケーキを焼いておくのに』

『はっはっはっ、ゴメン。急に決まってね。急いで出て来たんだ。もぅ嬉しくてさ』

『何々!? 何か良い事でもあったの!?』

扉の中から聞こえてくる声は終始楽しそうだった。
サンドラはルシオンに会えただけで胸の動悸が収まらない。
嬉しくて仕方が無い。
やはり自分はルシオンに恋をしているのだとハッキリ実感した。それなのに・・・・。

「ご結婚がお決まりになられたのかしら!?」

「えっ!?」

メイテルの言葉に我が耳を疑った。

「いえ。お嬢様がお妃になる事が決まられてから、ルシオン様の下に凄い数の求婚者が現れたらしいの。中には公爵家の御令嬢もいるらしいし、人生ってどう転がるかわからないものね。今までそう言う話は全然だったのに」

それまでは、この年にしては珍しいが、求婚話は殆ど無かったらしい。
両親である伯爵夫妻はこの好機を逃してなるものかと数か月前より必死で嫁の選定を行っており、既に婚約間近との情報も耳にしているらしい。長年伯爵家に仕えていたメイテルの情報はおそらく確かだろう。

「そうなのですか・・・・、それは喜ばしい事ですね」

「そうね」

メイテルはとても楽しそうだ。
でも、自分は全く喜べない。
あれだけ楽しそうに話しているのだ。きっと相手は凄く素敵な方に違いない。

サンドラは今にも泣き出しそうな想いを胸に押し込め、お茶の用意をして、部屋へ持っていく。
ここは職場だ。笑顔を絶やす訳にはいかない!
自分に言い聞かせ、鏡に向かってニッコリ微笑み笑顔を作る。
そして、そのままの表情で部屋の扉を開いた。

「あっ、サンドラ!」 

ルシオンがにこやかに声を掛けて来た。
サンドラはニッコリと作った造形のような笑顔を絶やさない。
紅茶を並べて、茶菓子もテーブルの中心へ置く。

「・・・・ご無沙汰しております。お元気そうで何よりでございます」

少し、声が震えた気がしたが、気付かれなかっただろうか?

「うん。有難う。それでね。君に一番に聞いてほしい事があるんだけど」

「知っています」

「えっ!? まさかシザーレが話したの? 意外だったな」

「・・・・おめでとうございます」

「うん。有難う!」

ルシオンはとても嬉しそうだ。

「おっ・・・・お幸せに・・・・」

「えっ!?」

そう告げるとサンドラは急いで部屋を出て行った。

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