「パウリンの娘」
パウリンの娘 《番外編》

幸福の行方11 ~パウリンの娘番外編~

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ルシオンはサンドラと別れてイシュラルの屋敷に帰った後、父と急ぎ話をした。
正式にドナヒュー子爵家の令嬢であるサンドラに求婚を申し込みたい旨を父に伝える為に。

両親はルシオンの居ない間にも嫁の選定の最終段階に入っており、その候補者を5名に絞り既に候補者を屋敷に招いてルシオンと会わせるべく日程の調整の為、各々の邸と連絡を取り合っていた。
もぅここまで来たら中止に等出来ないと何度も息子を説き伏せたのだが、ルシオンの意志は固く、それに見向きもしなかった。
口を開けば、どれだけサンドラが兄妹思いで明るくて芯の強い良い娘であるかを話し続けた。勿論ローレライとも仲良しだと言う利点も大いに付け加えて。
その説得は数日にわたり、流石の伯爵夫妻も根負けしそうだった。
それならば何故王都へ出向く前に正式に多くの求婚話を断らなかったのかと問われたが、その時は誤解していて彼女に婚約者がいると思っていたから、彼女を諦める為に自暴自棄になっていたのだとその点はルシオンもしっかりと認め訂正した。
そして、帰って来る前にその誤解が解けて、サンドラに対してはきちん想いを伝えた事も、返事は未だ怖くて聞けなかった事も正直に父に話した。
でも、もし例え断られたとしてもやはり自分は諦めきれないので、父からも正式に子爵宛てに書状で申し込んで後押しをしてほしいと頼み続けていた。

「俺、サンドラが幸せになるならそれで良い。温かく見守ってあげようと一度は思ったんだ。でも、また会ったらやっぱり諦めきれないって思った。彼女が手に入るなら何でもする。勉強もするし、もぅ自分勝手な行動もしない。きちんと民に慕われる立派な領主となる為に父上の補佐だってする。何でもするから彼女と結婚させて!!」

これには伯爵も驚いた。
今までに見た事の無い息子の真剣な眼差しだった。

「でも、ドナヒュー家と言うのは武勲に優れた名家ではないのか? 相手を選ぶのでは無いのか? 文武両道に優れた者であるとか・・・・」

「お父上に関してはその点大丈夫みたい。ただ兄がちょっと堅物なんだ。だから、物は相談なんだけど、俺、騎士見習いに入ろうと思ってるんだ」

「お前がか!?」

流石にこれには度肝を抜かれた。
まさか息子から一番険しいと思える騎士修行の言葉が出ようとは夢にも思わなかったのだ。

「うん。心身の鍛錬にもなるし、サンドラは結構剣も出来るんだ。結婚して妻より弱い男にはなりたくないから死ぬ気で頑張る。だからその事も踏まえて子爵に交渉して欲しいんだ」

本物の恋は人を変えると言うが、ここまで息子を変える娘が居るとは・・・・。
これは仕方が無いと思った。

「・・・・お前の本気は分かった。良いだろう。今来ている求婚者からの話を全て丁重に断り、納得して貰えたら子爵へ書状を書こう」

「有難うございます。感謝します父上」

こうして伯爵は多くの求婚者へ断りの書状を送り、納得を得た後約1か月後、正式に子爵へ書状を送った。
その後少し長引く手紙のやり取りの後、正式に日時を決めてルシオンを交え会う事になった。

子爵との面談はサンドラにも正式に知らせてきちんとした形を取るつもりでいたのだが、シザーレがそれを良しとせず、本人に手紙は届けられなかった。
面談にはシザーレも勿論同席し、話がなされた。
子爵はサンドラさえ良ければ自分は何も言わないと言ってくれたが、シザーレはそうは行かなかった。

「私より、弱い奴にサンドラは渡せん!」

「そのような事を言っていては、サンドラは一生嫁には行けんぞ」

子爵は良く分かっていた。

「では、せめて騎士並みの実力は身につけろ! あいつを本気で守れない奴にはやれん!」

「勿論、そのつもり。騎士の称号貰えたら許してくれる?」

さらりとさも当然の事の様に告げるルシオンの言葉に、流石のシザーレも呆気に取られた。

「お、お前に出来ればな」

「有難う。恩にきる」

ルシオンは満面の笑みを浮かべてそう告げた。

この時に交わされた内容は、ルシオンが騎士見習い審査に合格したら正式に婚約を許すと言うもので、婚姻については、子爵はサンドラと話し合って時期を決めても良いと言う事だったのだが、シザーレは騎士の称号を賜るまでは許さないと言う姿勢だった。

とにかく式の時期は未定だが、それでも正式な婚約にはこぎ着けられる目途はついた。
後は自分の頑張りとサンドラの気持ち次第だ。
自分の意志は既に固まっており、問題ない。手紙で聞いたレライの話ではどうやらサンドラも自分を気にしていてくれるらしく、かなりの脈はありだと言ってくれた。
ルシオンはそれが嬉しくて仕方なかった。

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