「パウリンの娘」
パウリンの娘 《番外編》

幸福の行方15 ~パウリンの娘番外編~

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ローレライは流石に不味いと思った。
ここでアイスラントの不快を買う事は得策では無い。

「あ、あのね。違うのよアイスラント。実は・・・・」

慌てふためき言葉を訂正しようとする。

「私たちに子が出来るまで結婚をしないと言うのは迷惑だ!!」

何を言い出すのかとドギマギしていたが、思っている最悪の事態ではない事にローレライはホッと胸を撫ぜ下ろした。

「いえ、あの・・・・それに関しましては兄の言う騎士の称号を賜るには通常最低でも2年の歳月がかかると聞いておりましたので、その様に・・・・。それを口に出せばルシオン様に過度のプレッシャーをかけてしまう結果にもなりますので、通常の御夫婦でしたら2年あれば御子にも恵まれると聞いておりましたので、それに掛け合わせてその様に言わせて頂いたのですが・・・・」

「浅はかな考えだな」

「・・・・申し訳ございません・・・・」

「では、我らに子が出来るまで等と言う不確かな物事で結婚の時期を決めると言う言い方は訂正しろ。本当にコイツと結婚する気があるならきちんと日時を決めてやれ。無いならこの場でキッパリ断れ!」

「おっ、おい、お前また何て事を!!」

最初は良い事を言ってくれると快く聞いていたルシオンだったが、最後の言葉には流石に義弟を見つめて慌てふためく。
今更断られるなんて有り得ない!!
オロオロするルシオンを見て、サンドラは苦笑いを浮かべた。

“なんて、分り易い人なんだろう。とても自分より7歳も年上とは思えない・・・・”

「・・・・はい。申し訳ございませんでした。私と致しましては、このお仕事も始めさせて頂いたばかりですし、実は直ぐにと言う事はやはりどうしても考えられないのです。それにルシオン様との事がなければこの様な考えには及ばなかったのでしょうが、私は貴族の娘と言っても名ばかりのこの通りの不束者です。伯爵家の跡取りとなられるルシオン様の下に嫁ぐのならばきちんと身に付けなければならない所作もございます。何より王家と関わりを持つ御家柄なのですから、しっかりここは花嫁修業のつもりでこのまま暫く務めさせて頂こうと思っております」

「サンドラ・・・・」

ルシオンはそこまで真面目な気持ちでサンドラが自分の事を考えていてくれた事にいたく感動した。

「では、私が決めてやる。2年だ。私たちに子が授かる有無に関係なく、2年働いたら嫁いでやれ。それまでにコイツに愛想をつかさなければな」

「・・・・はい・・・・」

サンドラはルシオンをチラリと見つめると、少し恥ずかし気にそう告げた。

「これで良いか? ルシオン」

「有難う! 感謝する! 色々巻き込んで、迷惑かけて済まなかった」

ルシオンはとても嬉しそうだ。義弟の手を取り、握手を求め振り回す。

「別に如何って事は無い。まぁ、これでコイツの腹に今授かっていようがいまいがお前には所詮関係ないと言う事だ」

「はぁ!?」

ルシオンはびっくりして妹をマジマジと凝視している。
ローレライはブンブンと首を思いっきり横に振った。

「こいつは唯でさえ周囲から何時もストレスを掛けられている。会えば懐妊を問う事が日課になっているような爺共もいるからな。これ以上過度な負担は与えたくない」

「結局、俺の為では無くてレライの為なんだ・・・・」

「当然だ!」

憮然とそう告げる王が羨ましくもある。

「相変わらず仲が良さそうで良かったよ」

「ならばさっさと出て行け。 ここから先は私たちの時間だ!」

そう告げると傍に居た妻を抱き寄せ、首元に唇を寄せる。

「やだっ、もぅゼロッたら・・・・ぅふッ・・・・」

真っ赤になりながら王の腕に抱きすくめられ身を捩りながらも応える妹の姿に、ルシオンは今まで感じた事の無い疎外感を覚えた。

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