「パウリンの娘」
パウリンの娘 《番外編》

幸福の行方16 ~パウリンの娘番外編~

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呆然とする中、サンドラから背を押されて部屋を後にした。

何だろう。この喪失感は・・・・。

「はぁ‥‥」

何故かため息が漏れる。
今日の妹のあの目は、今まで自分の知る恥ずかしがりやでシャイな妹の姿では無かった。
妙に色っぽく、艶やかで・・・・。
あの男が妹を変えた・・・・。俺の知らない女に・・・・。

「やっぱり、あいつらホントの夫婦なんだな・・・・」

自然とポツリと言葉が漏れた。

「当たり前の事を言わないで下さい」

「俺のレライが・・・・」

妹が嫁いで半年。既に人妻である事を重々頭では分かっていたし、幸せになってくれて本当に良かったと心底思っていたが、何だかとてもショックだった。

今更だが兄と言うものは不憫な生き物だ。
あれだけ慈しみ愛情を注いでも、いつか他の者へ持って行かれるのだ。

「俺、シザーレに申し訳ない・・・・。あいつにもこんな思いさせるんだよな・・・・。可愛い妹を奪われるのに、幸せにするだの何だの。言葉は所詮詭弁だよな」

シザーレの妹に対する気持ちを思えば、もぅ少しきちんとこの前の段階で向き合い話し合うべきではないのかと思えて来た。

「・・・・今更ですか!? そんな生ぬるい事言っていると兄に張り倒されますよ。そんな不甲斐無い想いしかお前は妹に持っていなかったのか!とか。同情や憐れみは時により人を不快にさせるものです。それにハッキリ言いますけど、あのお二人の御夫婦仲はかなり良い方だと思います。もぅ兄としての貴方が出る幕はありません。そこはキッパリ諦めて下さい!」

「そうだよなぁ‥‥。いや、諦めるとか、そう言うのじゃないんだ。・・・・縋るような目でアイツの事見て、俺の知らないレライの姿をあいつが知っているのかと思うと少し寂しかったんだ・・・・」

苦笑いを漏らす。

「・・・・妹ってそんなに可愛いものですか?」

「そりゃ可愛いさ。小さい時なんか、俺の行く所行く所何処でも後ろからひっしに追い駆けて来てさ、しがみ付いて来てチュッなんかしてくれたりしてさ。ホントに可愛くて可愛くて仕方なくて・・・・。レライのファーストキスの相手って多分俺だよなぁ」

「・・・・王様には聞かせられませんね・・・・」

正に、これはこれで溺愛だ。

「でもさぁ、妹のヤキモチを焼く兄2人って、想像すると何か不甲斐無い絵図らだなぁ」

「はぁ・・・・・」

最早溜息しか出ない。

「・・・・あっ、もしかしてサンドラ今の俺の発言で、レライにヤキモチ焼いちゃったりした? 大丈夫。レライ相手に欲情とかしないし、そう言う心配は全くないから!」

今度は真顔で何を言い出すかと思えば・・・・。

「・・・・・・・」

「あれ!? 違った? サンドラ!?」

「・・・・呆れているだけです。あのですねぇ、兄妹の絆は絶対です。私にも兄妹がおりますし、その感情は理解できますし、そんな事位でヤキモチなんていちいち焼きません。ですがら、兄に対しては同情とかでは無く、あくまで憮然とした態度で居て下さい。そうでなければ騎士の称号を得られても兄から良い返事は貰えないかもしれませんよ。分かっているとは思いますがうちの兄は手ごわいですから」

微笑むサンドラからそう告げられルシオンは我に返った。
そうだ、妹への干渉に浸っている場合では無かった。
2年と言う期限が決まりすっかり安心しきっていたが、その前にあの兄シザーレを説き伏せなければならないのだ!

「父は貴方が伯爵家の長子と言うその段階で既に半分認めていたと思います。それに加えてあの父にある程度認めさせたのですから何があろうと父の意志は固いと思います。ですが兄は、この期に及んで私に全てを隠しておいた位ですから王様は後2年と言って下さいましたが、あの兄がそれで納得するとは思えません。ですので、一番良いのは2年の間と言う最短で正式に騎士の称号を得て兄に有無を言わさぬ状況を作る事です。並大抵の努力ではまかりならないと思いますが、私は貴方を信じています。ですから、しっかり鍛錬してください。やはり家族には祝福されて私も幸せになりたいですから」

ニッコリ微笑みそう告げられれば、男としてやるしかないだろう。
幸い周りには見知った剣術士も多く居る。
何としても期限の間に騎士の称号を勝ち取ってやると心に誓った。

「俺達も絶対に幸せになろうな」

「はい」

満面の笑みでサンドラはそう告げた。
そっと肩を抱き寄せ胸に抱く。暫くその温もりに酔いしれながら互いに見つめ合った。
自然とどちらからともなく目を瞑ると引き寄せられるように唇が合わせられた。
最初は軽く啄みながら、しかしそれはやがてとても甘やかなものとなり次第に互いに夢中で貪り合った。
もぅ、この想いは止められない。絶対に離さない! 離れられないと互いに確信した初めての時だった。
高まりゆく熱の中で、サンドラが首筋へと落ちて行くルシオンの甘やかな吐息を制止した時、ルシオンは苦笑いした。

「あいつ、ホントに凄いよ・・・・。俺、レライとの約束守れる自信ない・・・・」

「はい!?」

サンドラは苦笑いして天を仰ぐルシオンに小首を傾げた。

国王夫妻を取り巻く環境で、近い将来より大きな幸せが訪れる事は想像に難くない。


【END】

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~ Comment ~

NoTitle 

本当に長い間の連載お疲れ様でした~(≧▽≦)
番外編のお兄様も楽しく拝読させていただきました^^

でも結婚編も書けそうですね(^m^)←

新連載で詰まったらパウリンの番外編で息抜きしても
おKですよ^^
では!新連載も楽しみに待っております~v-238


はのん様 

番外編のお兄様も楽しんで頂けて良かったです^^

そうですね。考えれば結婚編も書けますね(笑)
ルシオンも超溺愛間違いなしだし^^
でも書くならその前に既に頭にあるカップル二人を書きたいなぁ。シザーレとかフリードルとか(笑)

おお!パウリンで息抜きOKですか?
これは心強いお言葉です^^
新連載は今やや詰まり気味ですが、ストック減らさないように頑張ります^^/

いつも本当に有り難うございます^^

NoTitle 

ルシオンくん。

きみに武官はムリだ(^^;)

わたしとしてはあるとしたなら王立図書館長あたりが適任ではないかと思うのだが……もちろん実務は副館長丸投げ(笑)

ポール・ブリッツ様 

私もそう思います。

おお、それも有ですね。

私の中ではルシオンはとりあえず、騎士の資格だけを取得したら、王妃の相談役(実際は兄として話聞いてるだけ)を経て、田舎へトンズラ予定です。
一様後に領主になりますが、こちらもサンドラに尻を叩かれ、ランドンに支えられながらと言う形になるで有ろうことは疑う余地はありません(笑)

いつも有り難うございます^^
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