記憶の彼方とその果てに

記憶の彼方とその果てに《4.衝 撃》

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「まぁ、貴方様は!」

侍女も流石に驚いたようだった。
慌てて踵を正すと深々と頭を下げた。

「先日は危ない所を助けて頂き、有難うございました」

直ぐにその事が理解できたのか、その者はにこやかに微笑んだ。

「いえ、お役にたてて宜しゅうございました。主のお妃様となられる方にお怪我が無く何よりでございました」

「えっ!?」

ソファーの前で立ち竦んでいたアーリアは、聞こえてくるその言葉に一瞬我が耳を疑った。

「申し遅れました。私はセイラル王子付の従者でマジミール・エドワールと申します」

「・・・・王子様付の・・・・従者様だったのですか?」

対応した侍女もどうやら驚きを隠せない。

どの舞踏会や晩餐会に出席しても見つからなかった筈だ。
王家の者が王宮以外の催し事に参加する事は稀だ。

「はい」

運命とは何と皮肉なものなのだろうか。
やっと会えたと思ったら、自分の婚約者の従者だなんて・・・・。
アーリアは、ショックのあまり侍女との会話を聞いて、ソファーに身を預けると項垂れた。強い喪失感が襲い、全身から力が抜けて行くのを感じた。

「良かったですわ。お嬢様も、もう一度貴方様にお会いして是非お礼を申し上げたいと常々申されていたのですよ」

話を振られアーリアは、何とか必死に立ち上がろうと試みた。

「・・・・あの折は、危ない所をお助け頂き・・・・有難うございました・・・・」

しかし抜け落ちた力は回復せず、手足の震えを押さえるのが精一杯で、とても立ち上がる事等出来ない。言葉を口にする事が精一杯だった。

「おっおおおお嬢様!?」

「・・・・・・・・?」

慌てる侍女の姿に、最初は何が起きているのか全く理解出来ないアーリアだったが、目の前の近づいた大きな手からスッと真新しい真っ白なハンカチ差し出され、自分が泣いていた事に気付いた。
必死で想いを押し殺して笑顔を作り礼だけを述べたつもりでいたのに・・・・。

「どうぞお使いください。私との再会を、涙する程喜んで頂けて光栄です」

爽やかに微笑む従者の顔が酷く残酷に思えた。

「・・・・有難うございます・・・・。本当に思いがけぬ再会に、歓極まってしまいまして・・・・。お恥ずかしい限りです。お借り致します」

アーリアは差し出されたハンカチを、そっと受け取った。

その姿を見て、従者は慈愛に満ちた表情で目を細める。

「貴女はやはり変わられていない。ずっと昔のままだ」

思わず零れた言葉だったのか?

「えっ!?」

不思議そうに見つめるアーリアに、従者は自らが口にした言葉に少し驚いたような表情を浮かべたが、それは目の錯覚だったのか? 直ぐに元の表情に戻った。

「いえ‥‥。ほんのひと月半前の出来事を昔と言うのは表現として的確ではございませんでした。殿下が申されていたのです。貴女様をお見初め致しました折に、何とつつましやかで優しい御令嬢なのだと」

「では、あの時の向かいの馬車に殿下はいらしたのですか?」

「はい。貴女様をご覧になり、女神を見つけたと仰せでした」

「・・・・そうなのですか・・・・」

初めて知った恋心と同時に、自らの運命までもが決まってしまっていた事を知ったこの日、アーリアは何の因果のなかと自分の運命を酷く呪った。

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~ Comment ~

NoTitle 

そこにいた!(笑)
いたけどまだ従者だし~
何がどうなるのかな~(^m^)

王子様出てくるのかな?
まだかな?
疑問がいっぱ~~い(><)

はのん様 

いましたね(^m^)
そうそうまだ従者だけど、アーリアにはまだだけど、ホントに直ぐに正体バレマス。
次来たらまたバレてるよ(笑)

王子?は出て来るよ♪王子はまだまだ先だけど♪
今回の作品は疑問がいっぱいよね。
先ず種明かしから入ってるから只今日々進展中です♪
お楽しみに^^

いつも有り難うございます^^
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