記憶の彼方とその果てに

記憶の彼方とその果てに《11.視 線》

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アーリア嬢を射るようにじっと見つめる王子の姿に、王子に扮したマジミールは、これはマズイ! と思った。
二人の視線が絡み合っている!
アーリア嬢はおそらく知らぬ間に再び王子に恋に落ちている。
それは間違いないだろう。
だが、悠長に構えて見ていられる筈も無く、急いで両手を広げるとわざらしく大きな音を立て拍手した。皆の視線を集める為に。

「いやぁ、見事だマジミール。お前のお蔭で助かった。実はそう言う事なのだ。私は彼女に夢中だ。だから皆もアーリア嬢をあまり苛めないでくれよ」

「勿論です王子様」

「今度ラザニアが来たら私がお助けして差し上げますわ、アーリア様」

「あっ、有難うございます」

王子に扮したマジミールは横目でジトリと従者を見つめた。

(「・・・・王子ぃ・・・・」)

(「・・・・すまん・・・・」)

目と目で二人は会話した。

王子は過去においても現在においてもこの娘に夢中だと言う事が手に取る様に分かる。
この事を誰かに勘づかれなければ良いのだが・・・・。
と、思っていたらとても強い視線を感じた。
それをじーっと辿ってみれば第二王子サニエルの見つめる鋭い視線と重なった。
急いで王子に目配せする。

サニエル王子がこちらに近付いて来る。

「兄上、この度はアーリア嬢とのご婚約、誠におめでとうございます」

「有難う。アーリア、紹介しよう。私の弟のサニエルだ」

「お初にお目にかかります。王室公務省所属のマーチェリー伯が長女アーリアにございます。不束者ですがお見知りおきの程よろしくお願い致します」

弟と言われ、第二王子だと気付き、粗相があってはならないと顔を見るより先に即座にそのまま深々と頭を下げた。

「へぇ、君アーリアって言うんだ。宜しく。あ・ね・う・え」

何処か含みのある様な物言いに違和感を覚えて、ハッとし見上げれば、あの時の無作法な男だった。

「・・・・貴方は・・・・」

「おや、サニエル知り合いかい!?」

「いえ。初めてですよ。ねぇ、姉上」

平素な顔してシラを切る気だ。
そう言われ、思わず従者の方に目を向けた。
すると従者はかすかに頷いた。

「・・・・はい・・・・」

再び目線を向けると、これで良いと言いたげに微笑んだ。

どうしよう・・・・。
アーリアは一月半前のあの出来事が思い出され、肩を震わせた。

「どうかしたのですか?」

「緊張してしまって・・・・」

「大丈夫、じきに慣れますよ」

王子はそう言ってくれたが、この者に対しては絶対に無理だとアーリアは悟った。

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