記憶の彼方とその果てに

記憶の彼方とその果てに《15.疑 惑》

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アーリアがこの場を抜けて、すっかり華が無くなった。
笑顔で皆の祝いの言葉を聞く王子姿のマジミールにも、もぅ見飽きた。
そろそろ自分も見切りを付けて自室に戻るかと思っていた時だった。
あの後大人しく部屋の隅で仲の良い悪友たちと話に没頭していた筈のマーシャル侯爵令嬢の姿が忽然と見えなくなっている事に気付いた。
まさか、またアーリアに何かしようと企んでいるのではないかと言う不信感が湧いて来た。
追い駆けるか!? だが先程の今で、まさかそこまで軽んじるような行動を起こす程馬鹿な女では無いだろうと思い直した。
プライドだけは高い女だ。
だがその考えは直ぐに覆される事になった。
弟サニエルの姿も見えない事に気付いたのだ。
二人でしけ込んだのか? いや、あの二人は既に随分前に別れた筈だ。
方やアーリアを快く思っていない女と執着しアーリアを欲する男。
この二人がもしも互いの利益の為に手を組んだとしたらどうなるのか自ずと答えは導き出された。
考えすぎかもしれないが、そう思えば全てに合点が行き、とりあえずアーリアの後を追いかけてみる事にした。
一応マジミールに報告しておこうと一歩踏み出してみれば、途端マーシャル侯爵令嬢の友人等に取り囲まれてしまった。

「へぇ~。貴方がセイラル王子の第一従者!? 部屋を整える事もせずにこんな所で王子の護衛気取りとは良い御身分ね」

「私の職務は事実王子の護衛も兼ねておりますので、王子が私室におります時はお部屋にてお世話させて頂いておりますが、王子の許可無く勝手にお傍を離れる事は禁じられております」

「随分と王子様に気に入られているのね。小さい頃からの付き合いなの!?」

「王子の傍を預かるようになって今年で9年目になります」

「まぁ、そんなに!? と、言う事はお幾つから!?」

「13の頃よりお仕えさせて頂いております」

「へぇ、ではセイラル王子とは同い年なのね」

行く手を遮る様なその態度に、やはり何かあるのだと確信めいたものに変わって行った。
急ぎ追い掛けねばと追い払おうとした途端、突如話が切り上げられた。

「色々とお話し出来て楽しかったわ」

見れば、出て行った筈のマーシャル侯爵令嬢が上機嫌でこの場に姿を現し、王子姿のマジミールの腕にしがみ付くと猫撫ぜ声で機嫌を取り始めた。
あの令嬢らの行動の全てが、侯爵令嬢の指図なのだと確信すると咄嗟に身体が動いた。

手を振り払おうとする王子扮するマジミールと、しつこく迫り追いすがる令嬢の間を割って入った。
急に戻って来てから変わった態度と言い、もう疑う余地は無かった。

「王子、明日の件について少しお話が・・・・」

「何よ!!」

邪魔者でも見るような目つきでそう言われたが、マジミールの返答を待たずにこちらも思いっ切り厳つい顔を作り睨みつけるような鋭い視線を送った。
令嬢が1歩だけだが後退した隙をマジミールも見逃してはいなかった。

「済まない。公務に関わる大切な話なんだ。外してくれるかい?」

こちらの只ならぬ様子に気付いたマジミールが機転を利かせてくれた。
セイラルはマジミールの腕を引っ張ると、少し離れた脇へと押しやった。

「サニエルが居ない。アーリアが抜けて直ぐにあのラザニアも居なくなった。後を追おうとしたが、ラザニアの取り巻きに捕まった。何か変じゃないか!? それにあの上機嫌」

慌ててマジミールは会場内を見回し、ある事に気付いた。

「私としたことが・・・・大変な事をしてしまいました! 第二王子といつも連れ立っている両子爵子息の姿もありません。アーリア嬢がいらっしゃる間は確かにこの場に留まっておいでだったのですが・・・・、これは、まさか・・・・」

二人は顔を見合わせ青ざめた。

セイラルは大広間を飛び出す様にその場を離れ、王子に扮するマジミールは一言だけ話をしていた者達に断りだけ入れると、直ぐにその後を追い駆けた。

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