記憶の彼方とその果てに

記憶の彼方とその果てに《20.慰 安》

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サニエルと取り巻き二人はベッドの脇に括り付け、セイラルは部屋を入って直ぐの所に置かれてあるソファーにアーリアを座らせた。
マジミールは今セイラル王子として王と王妃の許へ報告へと向かってくれている。

「すみませんでした。貴女から目を離すべきではありませんでした。これは私共の落ち度です」

深々と頭を下げる従者姿のセイラルにアーリアは、何も言わずに大きく首を振った。

口の端は少し切れている。殴られたのか?
そっと手を差し伸べ口元の傷口に触れる。
痛いのだろう。少し顔を顰めた。
手首には縛られた跡がクッキリ痣になって付いており、それが今回の騒動の動かぬ証拠になるだろう。

「他に痛い所は?」

「・・・・少しお腹が・・・・」

「殴られたのですか!?」

アーリアはコクリと頷いた。
話を聞いていると更なる怒りが込み上げてくる。
もぅ5、6発殴っておけば良かった!

「・・・・あの・・・・ターニアは?」

「えっ!?」

「私の侍女もサニエル様に蹴られて倒れて動けなかったと思うですが・・・・。大丈夫だったのでしょうか・・・・」

「それは大丈夫です。先程兵に預け今頃はきっと城の侍医の治療を受けて居る頃でしょう」

「そう。良かった・・・・」

自分の身がこのような状況にあると言うのに、侍女の心配とは・・・・。
何という優しい令嬢なのだろうか。
心根もやはり私のリアにそっくりだ。
今までセイラルは過去のリアをこのアーリアに求めていた。
でも、それは間違いなのだ。
彼女リアであってリアで無い。魂はリアであっても今の彼女はアーリアなのだ。
セイラルはリアの影とアーリアの姿が自分の中で重なって行く幻影を見たような気がした。


王と王妃の許へ報告へ向かっていた王子に扮したマジミールが、途中医局へ寄って来たのかアーリアの侍女を支えながら戻って来た。

「ターニア!!」

「お嬢様!!」

王子姿のマジミールの腕を離れ、片足を庇いながらも懸命に侍女は自らの足でアーリアの傍までやって来た。

「申し訳ございません。私が怪我をしてしまったばかりに、お嬢様をこの様な目に合わせてしまい・・・・」

「いいえ。これは貴方のせいでは無いわ。私もここが安全だと過信していたから・・・・」

そうなのだ。
本来王宮は一番安全でなければならない場所なのだ。
間違っても王子やその婚約者が傷つけられるものであってはならない!
元はと言えば、父である王を擁護しようとしていたからこのような結果を招いてしまったのだ。
セイラルが5歳の頃毒殺されかけた折は、まだ祖父である前王の政権下にあった。
だが祖父には持病があり、時折政務を一手に父である王太子に任せる事もしばしばあった。
決まってセイラルが暗殺者に狙われるのはその様な時だった。
前王の政権下で有力な地位にあった者の多くは3年前に先王が退位した折一緒に隠居している。
その結果から導き出される答えは、間違いなくセイラルの命を狙う者は前王の政権下において有力な地位で無くともその政権に属していた者で、尚且つ現王の政権下でもある程度の地位にある者だ。
それは第一に王の側妃の一族を示す。
自分の身と、婚約者であるアーリアを根本的に守るためには、現政権下におけるその者達か、父である王を廃する他道は無い。
自分の身が危険に曝される事には耐えられても、アーリアが危険に曝される事にセイラルはもう一秒たりとも耐えられる気がしなかった。

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