記憶の彼方とその果てに

記憶の彼方とその果てに《21.過 剰》

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程なくして、王と王妃、それに呼んでもいないが側妃までもが部屋に現れた。

王妃は掛けられた上着の下のドレスから少し見え隠れする肩口の裂け目を目にし、震えているアーリアに急ぎ駆け寄った。

「・・・・だっ、大丈夫なの?」

告げられた優しい言葉に、アーリアは瞳を潤ませながら小さく頷いた。

「大丈夫ではありません。美しいアーリア嬢のお顔に傷をつけ、腹部も殴られて痛みもあるようです」

「御免なさいね、アーリア・・・・」

王妃は肩を抱き寄せ、唇を震わせ一緒に涙を流してくれた。

それとは対照的なのは側妃だった。

「私のサニエルは?」

「あちらです」

側妃はアーリアの様子を気に掛ける事も無く、息子の事しか頭にない様だった。
告げられるや否や隣の寝室に飛び込むと、我が子の姿に慄いたのか声を荒げて叫びまくっている。

『ギャァーーー!!サニエル!!どうして貴方がこのような酷い目に? ああ、可哀想に・・・・。誰か! 早くこの縄を解きなさい! 無礼ですよ!!』

その声を聞き、王妃は息子に目を向けた。

「マジミール、貴方が痴れ者から第一王子の婚約者を守ってくれたそうですね。大義でした。ね、陛下」

「そっ、そうだな。良くやってくれた」

側妃の取り乱しようから言って、後で難事を言って来る事は明確だった為、王妃は先手を打った。
サニエル王子を庇護する前にその非が誰にあるかを明確にさせ認めさせる事により、手傷を負わせてしまった者を賞賛し、マジミールとして手を上げてしまった息子に非が及ぶ事が無いようにと考えての結果だった。
この王は側妃の言いなりで信用はできないが、それでもプライドだけは高い。
自分が一度口にした言葉は本来中々曲げないのだ。故にこれで従者に扮した息子が罪を問われる事は無いであろうと王妃は少なからず胸を撫ぜ下ろしていた。

『まぁ、まぁ可哀想に。お母様が貴方に酷い事をした者を懲らしめてあげますからね。ほら立てますか? 何をしているの! お前たちも手伝いなさい!!』

隣の部屋から縄を解いてやったのか? 側妃の荒声が聞こえて来てくる。

程なく隣室から移動して、こちらの部屋へ友人二人に支えられながら顔を出したサニエル王子の顔は見事に腫れ上がっていた・・・・。

「陛下見て下さい! このサニエルの顔を!! 幾らなんでも酷いと思いません!?」

ほれ来たぞ!!
口うるさい側妃の言い分を聞いてやろうかと、セイラルは身を構えた。

「・・・・これは、・・・・痛々しいな・・・・」

「サニエル、誰に殴られたの!?」

「・・・・せこの、ずう者・・・・」

噛まれた舌が痛いのか、少し舌っ足らずな言い回しに、思わず吹き出しそうになるのを必死で堪えた。ザマアミロダ!!

「陛下! この者を直ぐに牢にぶち込んで下さりませ!!」

理由も聞かずに牢にぶち込めとは呆れ返る!

「いや、しかし・・・・、今回の件の非はサニエルにある。それをこの程度で済ませられたのはマジミールの功績だ。そのマジミールを捕らえる事は出来ぬ・・・・」

普段自分に対し抗う事の無い王の発言に、憤りを覚えた側妃はキッと鋭い目つきでアーリアを見据えた。

「聞けばその女が最初に色目を使ったそうでは無いですか!!」

「 !! 」

まさかの言葉にアーリアはかなりショックを受けているようで、僅かに唇を震わせながら首を大きく横に振る。
既に瞳には溢れ出す涙が溜まっていた。

その姿にセイラルはもう我慢が出来なくなってしまった。

「聞いておりましたら先程から、酷い言われ様ではありませんか! 詳細は既に殿下よりお聞きの事とは存じますが、王陛下、これは立派な強姦未遂事件です!! アーリア嬢の腕には縛られた血の滲んだ痕が今も痛々しく残っております。それに側妃様、アーリア嬢を侮辱する発言はご遠慮願いたい。本当に傷ついているのはサニエル王子では無い、アーリア嬢だ!!」

ソファーに座り、俯いていたままだったアーリアは、唇を震わせながら傍に居た侍女の横で咽び泣いた。

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NoTitle 

ああん!もう~問題多すぎ~!(><)
(本物の方の)王子!頑張って~~!

ところで、思ってたんだけど…
一話ずつにサブタイトルつけてるでしょ?
大変じゃな~い?(><)
私だったら絶対しない~(笑)
考えるの面倒だから~^^;
すごいね!がんばってね~^^/

はのん様 

ホント問題多すぎ^^; なんでいつもこうややこしい設定作ってしまうのか(苦笑)
でも、その方が面白そうで、先に苦労することも考えず、いつも走ってしまうパターンです^^;(学習能力ゼロ(爆))

サブタイトルは、人の付けてるの見て分かりやすいしカッコ良さそう♪と、安易な思い付きでいつかやってみたかったの♪
が、楽しく付けられたのは19まてで、そこから先はずっと放置してました^^;
で、近くになって焦って先週サブタイトル考えて、これが結構2~3時間かけて20話程付けまくり、でも振り返り投稿前にタイトル変える事も・・・・。
今、ちょっと後悔。次作は付けないかも^^;
二文字に拘って頑張って付けれる所まで付けてみる(笑)

いつも有り難うございます^^
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