記憶の彼方とその果てに

記憶の彼方とその果てに《33.衣 装》

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セイラル王子の乳母と言う人物を紹介された。
今日から式までの1か月間はかなり多忙を極める様だ。
先ずは午前中にウェディングドレスを含む、新調するドレス類の採寸と衣装選び、午後からは早々と正式にお妃教育に入るらしい。
通常第二侍女や第三侍女も傍に付きこの忙しい時期を何とか乗り切るのだそうだが、今のアーリアには実家から一緒に来たターニアしか侍女はついていない。
傍に置くのならば信頼のおける者でないとと言う思いから、暫くはこのままで良いと申し出たのだが、それではやはり無謀だと言われてしまったのだ。
おまけに今ターニアは片足を負傷している身。これ以上の負担はかけられなかった。
そこで王子の従者であるマジミールが王子の乳母のファンネを急場の侍女に据えてはどうかと提案したのだ。

「ファンネ殿でしたら私も良く存じておりますし、王子も一番安心して任せられる人材では無いかと思いますが?」

「そうだな。ファンネさえ了承してくれれば、申し分ない」

「では早急にそのように手配いたします」

と、容赦なしに二人に決められ、現れたのがこの少し恰幅の良い初老の夫人だ。
マジミール様は言うに及ばず、殿下も信頼の出来るお人だと言う事に間違いはない。ここに来て断ると言う選択肢も如何かと思い会ってみれば、まるで自分の乳母の様にとても優しい器量良しの人だった。

「まぁ、アーリア様、何てお綺麗なのでございましょう! 早く殿下にお見せしとうございます!」

今アーリアが身に纏っているのはウェディングドレスの幾つか目だったか既に記憶に無いが試着品だ。
これを基準に型を決め、生地や細かなデザイン、装飾品などを順次決めて行く予定だ。

「やはり私はこのAラインのカットが一番お似合いと思いましたけれど、ターニアはどう思う?」

「私はこちらのプリンセスのカットがお似合いかと。折角なのですからここは本物のプリンセスとして着飾ってさしあげたいですし。可愛らしくてお嬢様にはとてもお似合いですわ」

「マーメイドのデザインも素敵だけれど・・・・」

「申し訳ございませんがこちらはもう少しお身長が・・・・、こちらは背のお高い方の見栄えを良くするタイプですので・・・・。お嬢様はやはりAラインですとかプリンセスラインの方がお顔に映えるかと」

「そうね。ではこの二つのデザインで色々選びましょう」

「トレーンを長くするのも良いと思いませんか?」

「素敵だわね」

「それでしたらAラインの方が出来上がりは綺麗になるかと」

等と本人は蚊帳の外で王妃を中心に店の者も加わりドレスの選定に大忙しだ。

「あっ、あの・・・・、私は別に今日でなくても、もぅ少しして落ち着いてからの方が・・・・」

「そんな事をしていては挙式までに間に合わなくなります!」

「そうですよ。普通こう言うものは3か月前には発注するものです。今日決めても全然時間は足りません。本当はもっと時間をかけてもぅ少し凝ったものにしたかったのだけれどセイラルが急がせるから色々付けられないわね。それが残念だわ。折角の花嫁衣裳なのに・・・・」

等と、色々店の者とも話し合い、結局午前中に決まったのはウェディングドレスのみで、他のドレス類は好みの色合いだけ聞かれて後は店の者と王妃様等で決めて頂く事となった。
どうせ王室に相応しいデザインなどもアーリアに分かる訳も無く、お任せする事が一番だと思った。


午後からのお妃教育は王室内での決まり事や、所作の確認。
翌日からは国政や国の機関や人事について、午後から交流のある国々についての教育が開始された。
元々それなりの教育は十分に受けていたアーリアだったが、流石に人の名前がこれだけ出て来ると覚えるのにも困難を要する。
それに何より、自分が王太子妃となる実感がまるでない。

夜は夜で宵闇の夫と名乗るラルに良いように言い包められ、このまま周囲に流されて時を過ごして良いものなのだろうかと、心底悩み始めていた。

アーリアはあれから数日が過ぎ、傷口が治って行けばいく程に、心の枷が重くなって行くのを感じずにはいられなかった。

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~ Comment ~

NoTitle 

そりゃあね~!
混乱もするわよねぇ~^^;
なんか可哀相というか不憫だ…^^;
事情が分かればなんてことないのにね~(笑)
いいのよ~ぐるぐるしちゃって~(^m^)
ソコがお話のいい所なので(笑)

はのん様 

もう混乱も大混乱です^^;
現時点で一番不憫なのはやはりアーリアですよね。
事情がすべて明かされれば何てない悩みなんですがね(笑)
セイラルが何処まで事情を明かせるのか?
ぐるぐるしてさぁどうなるか!?
時は着実に迫ってます。乞うご期待♪

いつも有り難うございます^^
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