パウリンの娘

パウリンの娘《第8章4》

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ローレライとゼロは毎日地下室で剣の稽古と、一日2回ジュリアスの薬の貼り替えをしていた。
剣の方の腕はまだまだだが、形は出来上がっていると褒められ、後は毎日の練習次第だ。
ジュリアスの足はゼロの薬のお蔭ですっかり腫れも引き痛みも無くなった様で、今日は毎日地下室で稽古と言うのも息苦しいだろうと、ゼロがジュリアスの足の経過を見る為に練習は外でと誘ってくれた。

「皆さんお仕事しているのに御免なさい」

深々と頭を下げる。

「気にするな。ジュリアスが動けるようにならなければ、後々困る」

ゼロとの会話もすっかり普通に出来るようになり、ローレライはあんなに怖かったゼロとの時間が最近はとても楽しいものに変わって行くのが不思議で仕方なかった。

「そうそう。行っておいで」

シドも快く笑顔で送り出してくれた。


馬屋に行きローレライはジュリアスに話しかける。

「無理しなくていいからね。ゆっくり行きましょ。痛かったら直ぐに止まるのよ」

ゼロは優しく声を掛けられているジュリアスを見て、大切に育てられてきたのだと感じていた。
伯爵の娘だと言うのに人任せにすることなく馬の世話もきちんと出来る。
剣に取り組む態度もいい加減なものでは無い。
決して筋が良い訳では無いが一生懸命取り組んでいるのは良くわかる。
やはり変わった奴だとつくづく思った。

ジュリアスの様子を見る為にローレライはゼロのイクタシオに一緒に乗せて貰いジュリアスの手綱を引くと馬屋を後にした。

街外れの草原にゼロはローレライを案内した。
少し傾斜もあるが比較的平らで岩場も少なく放牧するには良さそうな場所だ。

「ここで暫くジュリアスの様子を見る。大丈夫そうなら帰りは騎乗して帰れ」

「はい」

ジュリアスは美味しそうに草を食んだり、イクタシオに寄り添ったりしている。

「なんだかイクタシオととても仲良さそう。何時の間にあんなに仲良くなったのかしら」

馬屋では離れて繋がれていたし、仲良くなる機会なんてあったかしら? とローレライは考えていた。

「ああ。あいつらは兄弟馬だ」

「ええ!?」

「気付かなかったのか? あの風貌だぞ」

「ええ、でもまさか兄弟だなんて・・・・あの・・・・ゼロはどうやってイクタシオを!?」

「伯母の愛馬の子を譲り受けた」

ローレライはゼロの顔をまじまじと見つめて覗き込む。

「・・・・もしかして、それってザビーネ様!?」

「そうだ」

言われてみればよく似ている。
漆黒の髪に薄紫の・・・・

「とっても綺麗な瞳・・・・」

そう、最初に見た時もそう感じた。

「何だ!?」

ゼロに優しく聞かれてローレライはハッとした。

「なっ、何でもありません。ザビーネ様に良く似ているので」

「ああ、良く言われる」

ゼロがフッと笑った。

とても綺麗なその笑顔が憧れの貴婦人にそっくりでローレライは恥ずかしくなり暫く顔を上げる事が出来なかった。

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~ Comment ~

おはようございます 

だんだん近づいてきたかなぁ(*^m^*)
早く急接近して~~~(笑)
でももう特別な感じだよね♪
気付かぬは本人だけ?(笑)

はのん様 

おはようございます^^
そうそう、段々近づいて来ましたよ♪
プチ接近はもうすぐですが、本格的にはまだまだ先かな(苦笑)
ホントに早く気づけ!とこっちが言いたくなります^^;
そうそう、気付かずは本人達だけです!(笑)

NoTitle 

ああ、応急処置は大切ですね。
確かに、そっちの方がむしろ重要かもしれませんね。
私も救命講習は数年に一回受けていますけど、いつそれがくるかは分からないですからね。・・・まあ、私は仕事柄、血まみれの人の対応や心肺停止の人の対応もやってますけどね。まるで夢のように過ぎていきますけどね。

LandM様 

そうですね。無理するとどうしても治りが悪くなりますから。
私も市町村主催の集団救命講習は今まで何度か受けました。実地は2回しかありません。中々難しいですよね^^;
ここ2年ほど夜の講習しか見つけられず出かけられずにいるのですが、そろそろ忘れそうなので今年は是非受けたいと思っています。
医療の現場に携わる方なのですね。私は介護の現場ですがお互い頑張りましょうね。

いつも有り難うございます^^
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