記憶の彼方とその果てに

記憶の彼方とその果てに《39.揺 蕩》R-15

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自分はこの先本当にどうなってしまうのか!?
はっきりとセイラル王子では無いと分かったと言うのに、このままでは抗う事すら出来なくなるのではないかと思えてしまうのだ。
その懸念があったから、今日はどうしても主寝室へと足を運びたくは無かったのに、結局足を踏み入れてしまう事になってしまった・・・・。
ターニアは何も知らないから使命感に燃えあの様な事を言えるのだろうが、かと言ってここ数日に渡り宵闇の夫と名乗るラルに身を委ねてしまったから寝室に等行きたくないとは口が裂けても言えなかった。

分かっている。悪いのは自分自身だ。ラルだけのせいでは無い・・・・。
過去の話に耳を傾け、話にのめり込み、記憶の彼方に置き忘れていた想いを呼び覚ましてしまったのは誰のせいでも無い、自分自身だ。
途中までは仄かにセイラル王子であると信じて何があっても許されるのだと何処かで気を許していたのは事実だ。
だが、ラルを知れば知る程、リアの記憶が呼び覚まされる程にアーリアとしての自分が何処かで許されない事だと無意識に心にブレーキを掛けはじめた。
それにも関わらず、抗いながらも最終的には昨夜あれ程までに身体を許してしまい、もぅ今日はどうなってしまうのか自分でも分からない状態だった。
だから翻弄されながらも少しは気持ちがしっかりしている内にきちんと全てを話し、分かって貰わなくてはいけないと思っていたのに、扉を開けた途端の衝撃に予定が大きく横道を反れてしまった。
有無を言わせぬ様にこれ程激しく口づけられた今となっては、このラルの隙を見て抗えられるとは到底思えない。
けれど、このままで決して良い筈は無い!
アーリアはそのままベッドへ降ろされる時の体制が崩れる一瞬の隙を狙い、少しだけ開いたラルとの距離をそのまま突っ撥ねようと胸元を必死で押しやった。

「はっ、離して!!」

だが、それは直ぐに重く圧し掛かって来るラルの身体の重みに難なく回避された。
このままでは不味いと直感的に感じ取ったアーリアは、それを回避しようと声を荒げた。

「まっ、待って!ラッ・・・・ぅぐぐぐ・・・・」

言葉の言い終わらぬ内に、考える余地を与えぬかのように宵闇の夫ラルはアーリアを組み敷くと、荒々しく有無を言わせぬとばかりに唇を再び奪った。

「ぁ・・・・、ら・・・・る・・・・や‥‥ぅふっ・・・・」

歩いている時とは比べものにならない程のくちゅくちゅと唾液が捏ね上げる音を発する口づけを耳にしながら流され翻弄されていく。

(「貴方は誰?誰なの?」)

気が少し逸れてしまっているせいか、心の声とは裏腹にいつしか自らもラル愛撫に応え濡れた舌を絡めて動かされる度にぞくぞくと背中に震えを感じている事に気付く。
一昨夜、昨夜と与えられた快感に己が簡単に反応し、自然と甘やかな声が漏れる。

「んっ・・・・はぁ、‥‥ダメ・・・・らるぅ・・・・ぅふん・・・・」

舌先で吸い上げられれば頭がクラクラして何も考えられなくなって来る。
まだ意識がある内に何か手を打たなければ、きっと今夜は昨夜以上に流されてしまう・・・・。そんな気がした。

またも翻弄させられてしまうと分かっているのに抗えないなんて本当に自分は如何してしまったのだろうか・・・・。
拒絶しなければと頭では思っているのに行動に移せない。
このままでは駄目なのに・・・・。

ラルがセイラルでないのであれば、自分のしている事は決して許されるものではない。
リアとしての自分はラルを受け入れたいと言う想いを拭えない。だがラルがセイラルでないとはっきりした以上、それは絶対に受け入れるべきでは無いのだ。
それに今の自分は、リアでは無い・・・・、アーリアだ!
頭では分かっているのに触れられると何も考えられなくなって行く・・・・。

(『もうこれ以上は流される訳にはいかない! 触れさせる訳には行かない!!』)

そう強く思った時、アーリアは決心しカリッとラルの舌先に歯を立てた!

驚いたように即効で封じられていたラルの唇が離れて行く。
射抜かれるような強い視線を感じ、あれ程迷い決断した結果の行動であったと言うのに向き合うことが出来ずに思わず視線を逸らしてしまった。

「まさか私にも歯を立てるだなんて・・・・」 

「あ・・・・、貴方がセイラル王子で無いとハッキリした以上・・・・、もぅこれ以上は受け入れられません!」

ようやくハッキリと自分の気持ちを言葉で告げられたと言うのに、自らの目からは大粒の涙が溢れていた。
あのラルを自分は拒んでしまった。あれ程までに愛していたラルを・・・・。
もぅこれで終わりだ。ラルとはもうこれで・・・・。
気付かれないように奥歯を噛みしめ息を殺した。
今はこれが精一杯だった。だのに・・・・。

「まさか、ここまでされるとは思いもよりませんでしたが・・・・、そうですか・・・・」

そう告げ深いため息をつき、暫く無言の重々しい空気が流れた後で、ラルは耳元で囁いた。

「今の甘噛みに毛が生えた程度の噛み方では、血さえ流れても微量です。直ぐに止まってしまいます。サニエルの時とは明らかに違う・・・・。今の噛み方には愛がある・・・・」

どうして彼は自分に対しここまで肯定的な考え方が出来るのだろうか・・・・。
どうして罵る言葉を告げてくれないのだろうか?
ふわりと肩に暖かい腕が回される。
・・・・ああ、もぅ駄目だ!
再びラルの腕に抱き寄せられると、アーリアは嗚咽を伴い泣き叫んだ。

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