記憶の彼方とその果てに

記憶の彼方とその果てに《47.難 題》

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どう考えてもこの申し出は受け入れられるものでは無かった。
このまま時間が経てばもっと困難な状況に追い込まれる事位、何も知らないアーリアでも分かる。
それなのにどうして彼はこの様な事を言うのだろうか?
今の自分は彼を愛している。正確に言えば、愛している等と言う言葉では片づけられない程に・・・・。
例え彼がどのような者だったとしても、最早彼から離れる事等絶対に考えられなかった。

「・・・・そんなの無理です・・・・貴方が傍に居るのに、他の人の婚約者になんてもぅ絶対に無理・・・・」

彼と一緒に居られる為に、出来る事は何でもする心積もりだった。
婚約破棄して、家を追われ、例え国を離れる事になろうとも、彼さえ傍に居てくれればそれで構わないとさえ今のアーリアは思っていた。

「無理を承知でお願いしたい・・・・。それを受け入れて下さらなければ貴女との幸せな未来は望めない。今すぐは無理ですが、近い内に必ず貴女との事を公に出来るように整えますから。それまでは今まで道理何事も無かった者として・・・・、一介の従者マジミールとして接して下さいませんか? それが今後私たちの為になるのです」

何? 何を言っているの!?

「整えるって何? そのような事は不可能だわ・・・・。普通に考えても貴方が無謀な事を仰っている事は位分ります。世間知らずの貴族の娘なら容易く騙せ遂せるとでも思っているの?」

「思っていません!!」

城でお妃教育中の身でありながら、婚約者でも無い者と通じる事が何を意味するか位分かる。
事が明るみになればどのように温厚な婚約者と言えども笑って許される事では無い。
最悪二人して死罪を賜ってもおかしくは無い・・・・。

「私は貴方となら死も厭わない覚悟でいるのに・・・・」

「アーリア・・・・」

「大丈夫ですから・・・・。何があっても、貴女を守ります。もぅ貴女を一人には絶対にしませんから・・・・。その為に今私は動いているのです。今度こそ貴方と本当の幸せを掴むために・・・・」

「・・・・ならばこのまま二人で逃げましょう? 今ならばまだ誰にも知られる事無く城を抜け出せるかもしれないわ」

「・・・・それこそ無理です。城の警備以前にこの部屋の前に今何人の護衛の者がいるとお思いか?」

「あっ・・・・」

「何をするにしても計画なしに事を運ぶと言う事は無謀以外の何物でもない。直ぐに私の提案が信じられないのも無理はありませんが、今はこの選択が正しいと私は信じています。二人の未来を思うなら、受け入れては貰えませんか・・・・」

何故彼はこの様な時なのに、こうも凛としていられるの?
全く狼狽えている様子も無い。・・・・どうして?

「・・・・では、その理由を教えて」

「それは、お答えできません・・・・」

「どうして!?」

「・・・・この計画を実行するために協力してくれている同じ過去を持つ仲間が居ます。その者に迷惑はかけられません。既に私の身勝手で計画は一部修正が必要となっていますから・・・・」

「では全ての行動は計画的なものだったの? 私との事も全て・・・・」

一瞬、計画と聞いて何処か無機質で冷たいイメージを持った。
自分との関係が作られた事のように感じられて、悲しかった・・・・。

「宵闇の夫としてのラルは・・・・。でも、従者マジミールと名乗ったのは計画外でした。アーリア貴方が私にそうさせたのです。そして私は仲間を裏切る行為をしてしまった・・・・」

「マジミールさま・・・・」

差し込む光が少しずつ強くなり、それに照らされる彼の瞳から一粒の涙が零れた時、自分の考えの浅はかさを悟った。
彼は私との事を本当に真剣に考えてくれている・・・・。冷たい訳では無いのだと感じられた。
そっと彼の頬に手を添える。

「・・・・そう‥‥。分りました。貴方がそれ程までに仰るのならば、私、言う通りにします。ここでお会い出来るのならば我慢します・・・・」

アーリアも共に流れる涙を拭きながら必死で笑顔を作ってそう告げてみたが、思わず視線を逸らされた・・・・。

「何? 違うの?」

「・・・・いえ、それは・・・・」

「・・・・まさか、もぅ二人で会う事も許されないなんて言う訳では無いわよね!?」

「・・・・昨夜までの件は、本来のマジミールには考えられない所行でしたから・・・・」

「・・・・では、宵闇の夫は?・・・・」

「彼は既に役目を終えられました。退散して頂きます」

「で、では今夜からは・・・・」

「・・・・現れる事はありません」

「そんな・・・・」

やっと想いが通じ合えたのに、もうあの腕に抱かれる事も許されないと言うの?・・・・。
信じられなかった。
やっとアーリアはリアも自分の一部である事を受け止める事も出来た。
あの伝記と思っていた夢も、現実に起こった事だと信じられた。
宵闇の夫と語った、あのラルとの遠い昔に分かち合って来たもぅ一つの愛の形。
それを今素直にやっと受け入れる事が出来、再び巡りあい、愛を確かめ合えたばかりだと言うのにその愛しい者と、もう二人で会う事もままならないなんて・・・・。

『二人の未来の為に・・・・』そう言われても、直ぐに二人で会えない状況になる等と言う事を全く考えて居なかったアーリアにとって、その言葉はあまりに酷な話だった。

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~ Comment ~

NoTitle 

第一王子殿下、このときに全部しゃべって仲間に引き込む気がないんなら、アーリアさんにこんなことしなかったほうがいいんではないかい。

アーリアさん、キュゥべえではないけれど「わけがわからないよ!」状態だと思うし、事情を話せば理解できるほどの理性は持っていると思うよ。

第一、明日から従者のマジミールに熱っぽい視線なんか送り始めたらどうするの(^^;)

ポール・ブリッツ様 

そうですよね~。私もそう思いました(笑)
で、話の中でもそう思っている人が居ます。もう直ぐ出て来ますが、彼女の言葉で少しはスッキリするかもしれません。

>第一、明日から従者のマジミールに熱っぽい視線なんか送り始めたらどうするの(^^;)

おお!鋭い!!ここポイント!!
で、罰が下ります!!(笑)
引き続き楽しんで頂ければ幸いです。
いつも有り難うございます。
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