記憶の彼方とその果てに

記憶の彼方とその果てに《49.和 解》

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婚約者で有り続けるならば何があっても抗う事は許されない状況に陥るかもしれない。
ここまで彼が思っていてくれるのならば自分もそれに見合うだけの強さを持ちたいと思った。再び命を落とす事になろうとも、この愛だけは・・・・守り抜きたいと・・・・。
それに自分は微睡みの中である事を想い出してしまった。
前世において自分が命を落とした本当の理由を・・・・。
悲しくて、辛くて、生きる気力さえ無くした・・・・。
このままでは自分はまたあの時と同じ運命を辿ってしまうのかもしれないと思うと恐怖で言い様の無い不安が押し寄せてくる。
今度こそ、この身だけは彼だけを知る自分で有り続けたいと思った。

「剣が使えるのですか?」

「いいえ」

「ではお渡し出来ません。剣を使えない者が持った所で、護身の剣にはなりえない。奪われればそれこそ貴女の身に危険を呼び起こす結果になる」

「いいわ。それでも構わないから・・・・」

「絶対に駄目だ!」

「・・・・私はもぅ決めたの。今度こそ貴方との愛を守りたいの・・・・」

「アーリア!?」

「想い出したの・・・・。貴方が亡くなってからの事を全て・・・・」

食い入るように見つめられ、そして彼は少し視線を落とした。

「・・・・何があったか聞いても?」

アーリアは少し迷ったけれど、言葉を選んで口にした。

「・・・・あの後、貴方が敵国の王子である事を知ったわ。でも、そんな事は私にはもぅどうでも良かった。貴方が何者であるかなんて私には関係なかったから。貴方は私の全てだった。だから何も無ければ直ぐに貴方の後を追っていたわ。でも・・・・、私には守らなければならないものがあったから・・・・」

「・・・・守らなければ・・・・ならないもの!?」

「国を離れ一人で生きて行く覚悟を決めたの。でも、屋敷を抜け出して間もなく見つかってしまい連れ戻されてしまった。そして戻ったら貴方を打った弓の名手との婚姻が既に決まっていた・・・・」

「結婚したんだ・・・・」

目を逸らす視線の先に何が映っているのか・・・・。
告げるべきなのか、告げざるべきなのか少し迷ったけれど、自分の決意を分かってもらう為には言うしかないと思った。 

「いいえ。ずっと拒み続けたわ。でも、ある日父と結託して強硬手段を強いられた。夜更けに忍んでやって来て・・・・抵抗したけれど抗えなかった・・・・。そして私はラルから授かった大切な命を奪われてしまった・・・・」

「・・・・何だって!?」

目を大きく見開き明らかに驚いたような表情でこちらを向き、食い入る様な視線を向けられた。

「守るべきものを失した私が行く所は、もぅ貴方の側以外無かった・・・・。だから私に剣を下さい。まだ分らないけど・・・・、この身と、もしかしたら・・・・授かっているかもしれないから・・・・」

「リアッ・・・・」

「・・・・ラル・・・・、マジミール様・・・・」

隠すことなく流れる涙を拭くこともせず、互いに身体を寄せ合い堅く抱き合った。

「済まない・・・・。本当に済まない・・・・。全てはまだ話せないけれど・・・・、話すよ・・・・。君が心配するような事は何もないから・・・・」

「えっ!?」

「彼も協力者なんだ。君がセイラル王子の訪れを心配しているのなら、それは無いから・・・・」

「・・・・協力者!?」

「仲間なんだ・・・・。私とリアの過去の事も全て知った上で協力してくれているから安心してくれていい・・・・」

「・・・・本当に!?」

思いがけない告白に、身体の力が抜けた。

「この期に及んでそんな嘘はつけないよ・・・・」

「貴方は一体・・・・」

口にしかけて言葉を飲み込んだ。
この人はきっと唯の従者では無い。勿論騎士の称号を持つ者と言う事は分かるけれど、でも何かもっと他に違う何かがあるような気がした・・・・。
まだ納得のいかない事も多いけれど、アーリアは少し心の枷が軽くなるのを感じた。

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