記憶の彼方とその果てに

記憶の彼方とその果てに《55.決 断》

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乳母の言う事は理解出来る。だがそれを感情に結びつけるには困難を極めた。
それでも会いたくなるのが恋する者の心理なのだから・・・・。

「何か他に良い案は無いのか・・・・」

「ございません!! 私も無い頭で必死に考え導き出し、決断しかねて王妃様にもご相談し、これが一番だと言う話になったのですから」

「何だ、他にも案はあるんじゃないか」

「そう簡単に言わないで下さい!」

「済まん。では、あくまで参考までに、お前の導き出した案も聞かせて貰えないか」

今回セイラルは乳母の示唆した疑念を全て聞き入れる事無く、己が判断で行動に移した。
その結果、このような事になってしまい招いた事実を重く受け止めざるを得なかったが、少しでもアーリアに会える案があるのならばそれも一考だと思っていたのだが・・・・。

「そうですねぇ・・・・。他にはマジミールが実は国に婚約者を残して来ていると言う事にし、不信を抱いたアーリア様が敢てマジミールに目を向けないようにするですとか、」

「!!それは不味いだろう! 一時的であってもアーリアには不誠実な男とは私は思われたくない!!」

「と、思い却下いたしましたが、後はジナスでの暴露話をお聞かせして、一時的なショック療法をするですとか・・・・」

「な、ななな何を話すつもりだったのだ!?」

「ネタは尽きませんが、そうですね。恐らく一番効果的なのは部屋で初めて○本が出て来たのは幾つだったですとか・・・・、マジミールと二人で城を抜け出しこっそり・・・・」

「わぁぁぁ! その話は止めてくれ!!」

絶対にアーリアにだけは知られたくない若き日々の羞恥の数々が暴き出されそうでセイラルはゾっとした。

「でしたら・・・・後は・・・・」

「もぅ良い! 分かった、最初の案で良いから!!」

「そうですか?」

ファンネは何事も無かったように平然と装った。

「・・・・お前は私の一番の理解者であり味方の一人だと思っていたのだが違ったのだな・・・・」

セイラルがポツリと呟けばファンネは何食わぬ顔でにっこり微笑む。

「あら、今更何を。私は現在セイラル王子の乳母である前にアーリア様の侍女です。アーリア様が、時が来るまでつつがなくお過ごしになられる事が今の私の一番の幸せですから」

「そうだったな。私がそのように頼んだのだ」

「ですから、今後お式の前に、主寝室へお渡りするような事は決してなさらないで下さいね。二人きりに等なれば抑えなど効かぬでしょう? このような時にご懐妊でもされては私とてもぅ面倒見きれませんからね!」

「分かっている・・・・」

当初直ぐに始める予定であった抗体を作る為の微量の毒の服用計画はセイラルの身勝手な行動のお蔭で延期となった。
正常な状態での使用に関しては何の問題ない程度のごく微量な服用も、もし妊娠でもしていれば堕胎を促す効果になり得ぬとも限らない。その為、今回この計画を現在一時的に中止した。
もしもの事があれば一番苦しい想いをするのはアーリアであり、そして自分なのだ。

「アーリア様には私から王子と仲睦まじい姿をお見せした方がサニエル王子の目を削がれる事が出来ると一様はお話ししておきますから」

「済まない。そうしてくれ・・・・」

触れ合う事で一度知ってしまった熱い思いを閉じ込めておくには、やはり会わない事が一番なのだとセイラルは自身に強く言い聞かせた。
瞳を閉じれば熱くよみがえる宵闇での一夜。
その想いを深く胸に刻みつけ、セイラルは心に誓った。
一日でも早く真相を暴きだし、アーリアとの親密な関係を取り戻すのだと――――。

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NoTitle 

とりあえずここまで読みました。

セイラル王子、

「だからいわんこっちゃない……」(^^;)

8時40分の「ひかえひかえひかえ~い」にはまだ遠いみたいですね(^^;)

ポール・ブリッツ様 

第1章読破お疲れ様でした。

はい。本当にだから言わんこっちゃない結末でしたね^^;

印籠の出番はまだまだ先ですね^^;
色々と探りをいれるべく動いた中で思わず知る事になった衝撃の真実が第2幕で、大きく事が動き出すのは3幕からですから。

引き続き、お時間がある時にまたご覧頂ければ幸いです。
いつも有り難うございます。
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