パウリンの娘

パウリンの娘《第8章7》

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ジュリアスの足は問題なく、帰りはそのまま騎乗してゆっくり歩いて帰って来た。

「よし。腫れも無い」

「良かった」

安心してホッと息つきながら告げるとゼロが笑った。

「心配しすぎだ」

「だって・・・・」

「念のため薬はもぅ暫く続ける。特に今日は久し振りに歩いたからな」

「はい」

既に馬屋にはイモ、小麦、ビネガーは常備されており、ローレライはいつものようにイモの皮を剥くとゼロに手渡した。
いつもの何気ないゼロとのひと時が、何時になくローレライには楽しく感じられた。


夕食はいつものお店へ4人で出かけた。

「明日、競売がある。情報によると仔馬も子羊も出るらしい。詳しい事はまた明日。情報も今色々集まってきているから朝また例の部屋で」

食後に一言そう告げると、フリードルは護衛をランドンに任せて早々に店を後にした。
最近はかなり忙しいようで、食事も中々一緒にすることが無くなってきた。
フリードルにも申し訳ない。
全ては明日。とにかく明日を待つしか無いのだけれど・・・・。

食後、サビエルはローレライを部屋まで送り届けると、“では”と、足早に去って行った。
きっとサビエルもかなり忙しいのだろう。

ローレライは部屋へ戻るとホゥーとため息をついて胸にしまってあるパウリンを眺めた。
いつ見ても何の変化も無いパウリン。
このパウリンに来るべき時に自分の婚約者の姿が映し出される。
今までそれは何時か、どんな方なのかと思って期待したり、不安もあったけれど、早く知りたいと言う気持ちがあった。
しかし、今日は知りたくないと思った。
パウリンを覘くのが怖いと初めて思った。

“私・・・・どうしてしまったのかしら!?”

ローレライは自分で自分の気持ちが分からなくなった。


「おい。ゼロ!? 聞いてるのか!?」

「ああ。悪い」

忙しくて時間が無いからと、夕食を兼ねて仔馬の調査報告をシドはしていた。

「お前のそんな顔久し振りに見たな・・・・。もしかして気になるのか!?」

「誰が!?」

何が?では無く誰が?と来たか!
シドは脈ありと見た。

「ローレライ・・・・だっけ!?」

ローレライの事を今までお前とかあんたとか真面に名前を呼んだことが無かったので少し迷った。

「気になる・・・・と言うのか!?」

ずっと草原でのローレライの涙姿がチラついている。

「今、お前何を思い出してた!?」

「・・・・・」

「まぁ、良い。これで少しはお前の女性観も変わってくるだろ」

シドは満足気だ。

「何言ってる!? 私は今でも女は目障りと思ってるぞ」

「そうなのか!?」

「あいつは目障りではないが・・・・」

あいつは私にとって何だ!?
泣いているあいつがを見て慰めてやりたいと言う気持ちにはなった。
自然と頭をポンポンと叩いて、撫ぜてやって・・・・これは何だ!?

「そうだろ!? だったら」

「・・・・妹!?」

そうだ! きっと自分に妹がいたらそんな感覚になるのではないかと自分なりに推察した。

「まじかよ・・・・」

シドは深いため息をついた。

「まぁ、良い。少しは進歩してる」

「何がだ!?」

「ああ良い。こっちの話だ」

ゼロは相変わらず可笑しな奴だと思った。

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~ Comment ~

NoTitle 

ローレライも結構普通だったことに少し驚きましたかね。
今までが結構吹っ飛んだ言動が多かったので、内面は結構戸惑っている部分も多いのかもしれませんね。ここまでの周囲に。

LandM様 

ローレライは生活面的な事に関しては普通に全て身に着けてある程度の常識があります。
邸と領地内しか殆ど知らないので世間慣れしていないせいか世上にはかなりウトかったりします。
自然と戯れて育ったのでおてんばですが、俗世にまみれていないので擦れてなくて純粋なんです。
それで戸惑う部分も多々出てきたりしています。
でも、自分の意思はちゃんと持っているし結構気が強い所もあったりします。
ただ、自問自答して自分を追い込む悪い癖もありますが^^;
それでも、兄よりはしっかりしているはず?です。

いつも有り難うございます^^

はじめまして 

楽しく読ませていただいております。

それで……なんなのですが、

「第七章4~第二十七章前半」までの部分が、「もくじ」から飛ぶことができません。

できれば、そこをなんとかしてもらえれば助かるのですが。

すみませんはじめてなのにこんなことを書いて……。

ポール・ブリッツ 様 

初めまして。
楽しくお読みいただいているとの事で有り難うございます^^
とても嬉しいお言葉です^^

「もくじ」の件についてですが、私も以前から気になり、どうにかならないものかと色々当たってはみたのですが、完全に全部表記するにはどうすればいいのか?結局の所現在分かっておらず^^;「通常ブログ画面」の数字を押して頂くと色々と過去の記事へと飛ぶこともできるのですが、それでは分かり辛いので、各章ごとのリンク付きのあらすじを先月UPさせて頂きました。

「Home」ページの左「MENE」欄の「登場人物&あらすじ」欄を今回少しでも分かりやすくという事で「登場人物&リンク付きあらすじ」と改名致しました。そちらを開いて頂くと、『パウリンの娘《リンク付きあらすじ》』へも進むことが出来ますので、章ごとになりますが直接リンクが可能です。そちらから進んでいただければ少しは見やすいかと思います。
全てオールUP表記出来る事が理想ですので、改善に向けて、またもぅ少し調べてみようかと思いますが、無理そうな時はそれでご了解頂ければと思います。
これに懲りずにまた、おこし頂ければ幸いです。

お知らせ頂き有り難うございました^^
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