記憶の彼方とその果てに

記憶の彼方とその果てに -第2章-《13.駆 引》

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あれ程忠告され、謹慎処分を受けたにもかかわらず、まだサニエルはアーリアを諦めていないと言うのか?
やはり奴には油断ならないとセイラルは警戒心を強めた。

「アーリア様と殿下の仲を聞かれました。親密を装っているだけなのではないか等と詮索されましたが、そこはしっかり否定して参りました」

「あいつ、やはりまだ未練タラタラだな」

ぼやく様に呟いてはみたが、その言葉とは対照的に内心苛立ちは隠せない。
自然と目線は何処か鋭くなり、その態度にマジミールからも苦笑いされる始末だ。

「執着の度合いは分りませんが、気にしておられるのは確かです。何を思われたのか私に殿下が実は男色家で、アーリア様はそのカモフラージュに利用されているかもしれないから気をつけてやって欲しいとお心遣い頂きました」

「ブハッ!! ゴホッ、ゴホゴホッ!!」

思いがけない話にセイラルは飲んでいた紅茶に咽、咳き込んだ。

「大丈夫ですか?」

マジミールは落ち着いたものでクスクスと笑いを堪えている。
恐らく知っていたな、コイツ!

「まさか私を男色家に仕立て上げ、アーリアの耳に入れ疑念を持たれるように煽ろうと言う魂胆ではないだろうなぁ・・・・」

「殿下は城に戻られてからアーリア様とご婚約されるまで全く女性との関わりをお持ちでなかったのだとか。成人男子としてそれは異常だと申しておりました。ですがサニエル様の話もあながちウソとは言い切れぬものもございまして、私の調べでもその様な噂は他にもあり・・・・」

少し話し難そうに報告するマリーサの様子に思わず深いため息が零れた。
確かに独身貴族の中では女性と浮名の噂が無い者の方が珍しい。各々の性格や趣味にもよるだろうが、中にはそう言う男色家の者が居る事も知っている。だが、それは周囲がとやかく言うような問題では無い。高位になればなる程、事を慎重に運ぼうとし婚期を逃し心ならずもその手の話が浮上する事もたまに耳にする。
だが、その多くはデマだ。
自分にしても一国の王太子としてサニエルの様な軽率な真似は出来ないと思っている。
それに何より自分にはずっと心に決めた者がいた。
愛してやまないリアと再び巡り合う事。それが全てだった。
他の者などに目を向ける余裕など無かった。

おそらく今回の件はサニエルか自分に対する嫌がらせから発せられたか側妃が流したものだろうが、このような嫌がらせをして一体何になると言うのか?
それが私を陥れるべき罠だと仮定すればあまりに子供じみた考えだ。

このような発言が出る事態、まだまだ話が煮詰まっていない証拠だ。
それはおそらく話がまだ側妃側にまで流れていない事を意味した。
側妃がマリーサの事を知り何かさせようとするならば、サニエルの態度がこれ程まで滑稽である筈は無い。

「言うまでもない事だが、求めて病まない女性が居たから他に目が向かなかっただけだ。私はずっとアーリア一筋だ。あ奴の言う事は戯言だ」

「その件に関しましては何れ自分の目で確かめさせて頂きますが、お二人の事に関しましてはとりあえずファンネ様から、引き合わせる事事態危険極まりない親密な状況とお聞きしておりますので、その点に関しては疑ってはおりません」

「危険極まりないって何だ!? ファンネの奴言いたい放題だな」

傍らで大爆笑をするマジミールにセイラルは睨みを利かせた。
不機嫌そうな自分に対しマリーサも小さく肩を震わせ笑っている。
まぁ、良い。どうとでも言え!

「申し訳ございません。その話はともかくと致しまして、実はサニエル様からお茶の席に誘われました。何処でお調べになったのか日時もしっかり次の私の非番の日になっておりました。断る理由は無いのですが、一様お休みをもぅ一度確認してからお答えすると言っておきましたが、何か問題がございましたでしょうか?」

「どう思う?」

傍に居るマジミール目線を送る。

「そうですね。何の目的も無く誘うと言うのはやはり考えにくいと」

「私と致しましては早く手の内に入った方が色々と探りやすいですし好都合なのですが・・・・」

「分かっていると思うが危険な事だぞ。だが、そうなれば・・・・、こちらから仕掛けてみるか。いつまでも奴に手ぬるい真似をされていては一向に事が進まないからな。策を立て実行に移すにはいい機会かもしれない」

「そうですねぇ。今回サニエル王子はかなり慎重に事を進められておりますからね。そこにどう言う意図があるのか・・・・。ですが、このように時間稼ぎに過ぎないような状況が続けこちらと致しましても困りますし、ここは何かサニエル王子を行動に走らせる手を新たに考えた方が良いかもしれませんね」

「手ですか・・・・」

マリーサの表情も真剣だ。

直ぐに手を出して来るに違いないと思っていたサニエルが、如何言う訳か依然平常心を保っていた。
これはマリーサが未成年だと言うだけで説明のつかない状況だ。
やはり本当にマリーサに執着しているのか?
だが、裏を返せば何か策略があって手を拱いているとも読めなくもない。 
それに、未だアーリアの事を気にしている素振りも気に掛かる。
報告を受けたのは1度きりだが、言い様の無い不安がセイラルの心を占めていた。

宙ぶらりんのままずっと手を拱いているのはもぅお仕舞だ。時間も無い。
アーリアとの挙式まで後1か月余り。サニエルももうじき成人を迎える。
何か手を打つつもりならば、そろそろ奴も平素ではいられなくなるだろう。
ならば迎え撃つまでだ!!
対抗策に頭を悩ませるセイラルだった。

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